レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
「……ってことは,わたしの"初めて"は陛下とかもしれないの!?どうしよう……?」
わたしはまだ起きてもいないことにうろたえたり,照れたりして忙しかった。――もちろんこれは全部,わたしの妄想(もうそう)が暴走しまくっているだけ,なのだけれど。
「ううん!まずは,お仕事に集中しなくっちゃ。せっかく憧れの職に()けるんだから」
わたしは頭をブンブン振って,とりあえず妄想を振り払った。
まだ成人になっていないのに,(ポール兄さんのおかげとはいえ)お父さんとお母さんからやっとお許しが出たんだもの。まだしてもいない恋にうつつを抜かしている場合じゃない!
下級貴族の娘だからって,バカにされないように。お父さん達の(ほこ)りと尊厳(そんげん)を傷付けないように,しっかりやらなくっちゃ!
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