レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
すると,レオン様は何だか含みのある笑みを浮かべてこう仰った。
「それは,いずれ分かる。では,また近いうちに会おう。今宵(こよい)はもう遅い」
「えっ?あの……?」
彼の仰った意味が分からず,わたしがマゴマゴしている間に彼は四阿を後にしていた。
彼が向かった先にあるのは,陛下もお住いの宮殿だ。でも,どうしてこんな夜遅くに?
「まさか……ね」
わたしにはふとある考えが浮かび,次の瞬間すぐに打ち消した。
そんなこと,あるわけないわよね。あの方が……レオン様が,レオナルド陛下なんて!
もしもそうだったら,わたしは皇帝陛下に恋をしてしまったことになるのだから。
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