レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
「"あ"?今度はなに?」
わたしはいま思い出した。レオン様がわたしに「惚れた」と仰ったことを。
でも,あの方のことを「女ったらし」だと思っているアリサにそんなことを言えば,「あんたは騙されているのよ」と言われるだろうことは目に見えているので,あえて言わなかった。
「……ううん,なんでもないわ」
「――それにしても,"レオン様"なんて。陛下にお名前がよく似ていて驚いちゃうわよね。もしかして,その方が陛下だったりしないかしら」
「……えっ!?まさかあ!」
アリサの言葉に,わたしはドキッとした。わたしも同じことを考えていたから。
「"レオン"って,"レオナルド"っていう名前の人の略称としてよく使われるのよ。陛下のお名前も"レオナルド"でしょう?」
「そうだけど……。きっと偶然よ」
そう,偶然だ。そうでなければ,陛下がわたしみたいな地味で目立たない,身分の低い女をお見初めになったことになるのだから……。
わたしはいま思い出した。レオン様がわたしに「惚れた」と仰ったことを。
でも,あの方のことを「女ったらし」だと思っているアリサにそんなことを言えば,「あんたは騙されているのよ」と言われるだろうことは目に見えているので,あえて言わなかった。
「……ううん,なんでもないわ」
「――それにしても,"レオン様"なんて。陛下にお名前がよく似ていて驚いちゃうわよね。もしかして,その方が陛下だったりしないかしら」
「……えっ!?まさかあ!」
アリサの言葉に,わたしはドキッとした。わたしも同じことを考えていたから。
「"レオン"って,"レオナルド"っていう名前の人の略称としてよく使われるのよ。陛下のお名前も"レオナルド"でしょう?」
「そうだけど……。きっと偶然よ」
そう,偶然だ。そうでなければ,陛下がわたしみたいな地味で目立たない,身分の低い女をお見初めになったことになるのだから……。