レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
「さあ?それは聞いてないけど。そんなに気にすることないわよ。元々,陛下に側室をお迎えするように勧められたのはアン様なんだし。それなら人選にだって異論は仰らないはずよ」
「だといいんだけど……。でもわたしね,このお話,少し考えてからお返事しようと思ってるの」
わたしはアリサに,ナタリア様と話した内容を伝えた。陛下と面会して,直接お話しできるよう大臣に取り次いで頂くことにした,と。
「どうして?」
「わたし,好きなお方がいるのよ。その人を裏切って,陛下のお子をもうけるなんてできない!」
首を傾げるアリサに,わたしはそう答える。
万が一,実際にお会いした陛下とレオン様が別人だった場合,このお話をお断りするつもりでいた。
たとえそれで,このお城から追い出されることになっても……。
「でも,イライザ。もし陛下とそのお方が同一人物だったら?あんたの言う好きなお方って,あのレオンとかいう人でしょう?」
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