幽霊高校生のまつりちゃん
第四幕 可愛くなりたい
外見より中身が大事なんて、そんなのは嘘。
「あーやっぱりうまくいかない!」
私こと山中桜は朝から鏡の前で唸っていた。
癖の強い髪の毛をアイロンで伸ばしたまでは良かったものの、まぶたが重すぎて奥二重がどうしても二重にならない。
「桜、遅刻するよ!」
一階の階段下でお母さんが叫んでいた。
「はーい! 今行くから!」
結局、私は途中までした化粧をすべて落として、いつものように素顔のまま学校へと向かった。
「おはよう、桜」
昇降口で友達の渡辺涼香と会った。
涼香は今日も可愛くて、髪の毛も三つ編みにしていた。
「あれ、なんか今日髪型違う?」
「う、うん。ストレートにしてみたんだけど……」
「新鮮でいいね!」
「本当?」
安心したのもつかの間に、教室に入ると仲のいい男友達が近づいてきた。
「山中、どうしたんだよ。お前だけ雨にでも濡れたの?」
たしかに髪の毛はワックスを付けなかったので、ぺたんこになっていた。
「は? 違うし!」
「みんなー! 山中が女に目覚めたぞ!」
「うるさい、バカ、黙れ!」
乱暴な言葉で男友達に言い返していると、クラスメイトの中嶋翼くんと目が合った。
その瞬間、私の心臓はドキリと跳ねあがる。