幽霊高校生のまつりちゃん
「山中、おはよう」
「う、うん。おはよう」
「髪型いいじゃん。伸ばしたらもっと似合いそう」
「そう、かな」
私は不自然に髪の毛を触った。
翼くんはクラスの人気者であり、他校の生徒がわざわざ出待ちするほどモテる人。
このクラスの大半の女子が翼くんのことを狙っていると言っても過言じゃないくらい。
「翼くんって、どんな人がタイプなんだろうね」
もちろん涼香も他の女子たち同様に、彼に片思いをしてるひとりだった。
「噂では中学の時に付き合ってた人は芸能事務所に入るほどの可愛い人だって聞いたけど」
「……やっぱりそうだよね」
涼香が分かりやすく残念な声を出していた。
翼くんは自分がイケメンだということを鼻にかけるわけでもなく、気さくで優しい人だからみんなが好きになってしまう。
でも翼くんは雲の上の人。
どんなに恋心を持っていても彼女になれるなんて誰も思っていないし、告白してフラれてしまった人もたくさんいる。
「山中、ちょっとこっち来て」
黒板の前で友達と楽しく話していた翼くんが、私のことを手招きしていた。
涼香に断りを入れた上で傍に行くと、翼くんたちはゲームの話で盛り上がっていた。
「山中はメインクエストどこまで進んだ?」
「私は第二部の王国かな」
「マジで? 第一部のラスボスどうやって倒した?」
私は翼くんに攻略の仕方を丁寧に教えた。