幽霊高校生のまつりちゃん


誰も私がひそかに化粧品を買い揃えていることも、二重にするために悪戦苦闘してることも知らない。

私は男子から男おんなと言われるくらい女らしくない。

声も低いし、筋肉質の寸胴で足も太いし、おまけに肌は地黒。

男の子がスカートを履いてるなんて言われてしまった過去もあるので、体育がある日はそのままジャージで過ごすことも多い。

趣味のゲームを通じて男友達と気が合うので、「山中といても女子って感じがしない」と言われてしまうくらい私は男子の輪に溶け込んでいた。


「桜はいいよね。翼くんと仲良しでさ」

その日の昼休み。天気のいい中庭に集合して、女友達とお弁当を食べていた。


「仲がいいっていうか、女扱いされてないだけだよ」

「それでも私なんて名前すら呼んでもらったことないよ!」

翼くん狙いの女子から羨ましがられることは多いけれど、(ねた)まれることはない。

だってお弁当は面倒だからと購買のパンで昼食を済ませて、おまけに男子が横を通っても気にしないであぐらをかいている。

そんな私が女の子扱いされていないことは女子たちのほうが知っていることだ。

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