幽霊高校生のまつりちゃん
ここのランチの値段は1200円。
ドリンクバー付きだし、しゃぶしゃぶの他にワッフルやアイスも食べ放題だし、コスパ的には悪くないけれど……金銭的にはちょっときつい部分もある。
……今月は少し節約しないとまずいかもな。
新しいファンデも買う予定だったけど我慢しなきゃ。
「ねえ、若菜。今週の日曜日はカラオケね! S校の男連れてくるからさ!」
節約を心で決意した矢先に、璃子の明るい声が飛んできた。
「え、カラオケ?」
「そうだよ。マザコン彼氏で困ってる早織のために、璃子がイケメンを集めてくれるんだって。若菜も彼氏作るチャンスじゃん!」と、隣に座っている谷野ちゃんが言った。
恋バナになると途端に口数が減る私は、彼氏どころか、今まで一度も誰かと付き合ったことはない。
璃子は顔が広いから、他校の人たちとの繋がりもたくさんあって、こういった合コンという名の交流会には何回も参加してきたけれど……。
「なに? 都合悪いの?」
私の渋っている様子に、璃子の語気が若干強くなった。
「う、ううん! 平気。楽しみだね。私にも彼氏できるといいな」
形だけの笑顔を必死で作ると、璃子はいつもどおりの表情に戻って、この場の雰囲気も壊れることはなかった。