幽霊高校生のまつりちゃん
第三幕 一番になりたい
親友って大切だけど、いると苦しい時もある。
「亜子、おはよう」
正門でやっていた登校指導を難なく突破して、自転車置き場に向かっていると、親友の鈴木友香が手を振っていた。
「友香、おはよう。今日から二学期だね」
夏休みが終わり、制服もYシャツからブレザーになった。
まだ蒸し暑さは残っているけれど、セミの声はずいぶんと少なくなったように感じる。
約一か月ぶりの校舎はなにも変わっていなかったけれど、ワックスがけがしてある床はピカピカに輝いていた。
「亜子」
「片桐先輩」
同級生や後輩から名前と名字を交互に呼ばれる。
私は現在、高校受験を控えた中学三年生だ。
夏休み期間中はずっと夏期講習と図書館を往復するだけの毎日だったから、みんなと会うのは久しぶりだった。