命の対価
 さっきまで焼きそばのいい匂いの中で働いていた俺は、もう空腹の限界だった。

「じゃあカレー食べに行くか」

 雅也がパンフレットを閉じながら言う。

 裕貴はノリノリで階段を我先にと降りていく。

 ちょうどお昼時なのもあり、お目当の教室の前には列ができていた。

「待ってる間にこの後行く場所整理するか」

「だったら売り切れる前にタピオカ飲みに行こうぜ」

 雅也の言葉に裕貴がすぐ返事をした。

「そうだなー。時間的にその次は軽音部かな」

 今のところ予定通りに上手いこと回れそうだ。

 軽く話しているうちに教室に入ることができた。

 案外、回転率がいいらしい。

 俺たちは同い年の女子ウェイトレスに4人掛けの席へと案内された。

 3人とも席に着いたところで別の女子が紙コップに入った水を人数分持ってくる。

 もはや普通のレストランさながらの動きだ。
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