命の対価
 教室を出る前にお金を払い、それからタピオカを買うために1階に降りた。

 やはり今流行りのものだけあって、何人もの人が並んでいる。

 並んでいる人は女子が多くて、おそらくは中学生であろう女子グループの笑い声が響いてきた。

「買い終わったら教室の外で集合だな」

 チラッと中を覗いた雅也がそうつぶやく。

 俺も続いて中を覗くと、今目の前にいるグループと同じような女子たちが何組もいて、正直、あまりその中に長居はしたくないと思った。

──買うだけにしといてよかった。

 やたらテンションの高い女子が苦手な俺は、口には出さなかったがそう思わざるを得なかった。

 ゆっくりと列が進み、裕貴から順に教室の中に入ると、さっきまで俺たちの前にいたはずの女子たちがすぐ近くで写真を撮りながら「キャーキャー」言っていた。

「い、いらっしゃいませ……」

 明らかに周りの声と比べて声量が負けている、1つ年下の女子がぎこちなく接客してくれる。
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