命の対価
「お、佐々木」

「幸介じゃん」

 2人合わせてフルネームにすんな。

「おはよ」

 そんなツッコミは無しにして、普通に挨拶をした。

「しっかし夏休み初日からこれはないよな〜」

 裕貴(ひろたか)が早々に愚痴を零す。

 俺たちの高校は高大一貫で、昔大学の偉い人かなんかが高校の文化祭を夏休み中にやると決め、今もそのまま続いている。

 そのため、本当なら今日からゆっくり夏休みなのだが、俺たちは文化祭準備のため朝からみっちり準備だ。

 まぁ、文化祭の準備がなかったところで、その場合朝から部活になるんだろうけど。

 裕貴は単に文化祭の準備というものがそこまで楽しくないんだろう。

「お前それ去年も言ってたぞ」

 そう突っ込んだのは雅也(まさや)

 こいつらとは去年のサッカー部入部説明会の時に会い、それ以来ずっと一緒にいる。

 早見(はやみ) 裕貴はちょっとチャラ目で『ザ・サッカー部』って感じ。

 反対に新島(にいじま) 雅也はしっかりしていて、次の1番の部長候補だ。
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop