命の対価
 男3人、真夏の太陽に照らされながら10分歩き、今度は涼しい電車で過ごすこと10分。

 そこから最後に5分歩けば高校につく。

 こんな暑い中の通学だと、あいだ10分の電車は天国だ。

 燃えるような太陽様の真下を歩くよりも、たとえ満員電車になろうが、クーラーのある場所にいる方が断然マシだった。

 俺たちは前半同様、くだらない話をしながら電車内で過ごしたあと、ラストの徒歩5分を耐えた。

「俺だけクラス違うんだもんな……また帰りな」

「おう」

「また」

 1人だけクラスが違うことを今になって未練タラタラにアピールしながら去っていった。

 逆に残された形となった俺と雅也も、5分ぶりのクーラー恋しさから足早に教室へ向かった。

 教室には男女合わせて10人程度が集まっていた。

 昨日まで学校があったというのにもう怠けてしまったのか、それとも夏休み初日にしては集まった方なのか、俺にはわからなかった。

「これしか集まってないのか」

 雅也からすれば、どうやら前者のようだ。
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