好きになってもいいですか?
外に出ると、肌寒いくらいの涼しさをこの身に感じる。昼には暖かくもなるだろうけど、今は少し寒い。

私は両腕を擦りながら門の所に立つショートヘアーの活発そうな女の子に近付いていく。


「お待たせ。夏美ちゃん」

「おう、おはよ。花音。ちゃんと寝た?」

「おはよう。それが......マンガとゲームで夜更かししちゃって......」

「またかっ」


学校までの道中、私は夏美ちゃんと他愛もない話をしていた。

オタクなことを言ったとしても、夏美ちゃんは引くことなく普通に接してくれる。だからだろうか。学校では公言出来ないとしても、それを苦だと感じないのは......。

自然と口元には笑みが浮かぶ。

《夏美ちゃんと同じ学校で良かった》

私は心底そう思った。




学校に着くと、クラスが別の夏美ちゃんとは玄関で別れる。私は自分のクラスへと向かい、廊下側から二列目の一番前の自分の席に座った。

教室にはまだ半分と人はいない。

大半が部活の朝練などだろう。

机の中にバッグの中身の殆どの物を入れ終えて、私はチラッと窓際の後ろの席を見る。

《もう少ししたら来るかな?》
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