生贄の花嫁 〜Lost girl〜
「それから何日か経ってせめてもの手向けとして彼女を棺に入れる準備をしていました。ですが準備を終えたころには彼女の遺体は消失していました。当時は私が知らぬ間に誰かが運んでいたのかと気にもしませんでしたが、こういうことだったんですね。」
「それが…俺が忘れていたことなのか…?」
「そうよ。劉磨クンはよほどのショックで自分の記憶を封じていたの。アタシたちとしても忘れていてほしかったから記憶を戻さなかったの。」
「何があったのかはわからないけどどんな形であれ柚は生きている。たとえ中身は変わってしまったとしても…。」
「ただ1つわからないことがあります。私たちを怨んでいることはわかりますが何故花月さんのもとへ来たのでしょうか…。」
「それはたぶん…」
「止めてほしいんだと思います。自分たちがやっていることを……きっと。柚さんはまだ皆さんのこと……忘れていないから。」
私たちのことを信じていた彼女を私たちは裏切った。結局どの道を選んでいても彼女を幸せにできなかった。
償うべき罪はこれほど重いのですね。
コンコン
「花月ちゃん~!僕だけ仲間はずれにしないでよ!」
「る、琉生くん!?」
「大事なところだったのに…。」
「とりあえずこの話はおしまい。柚ちゃんが生きていたことだけでも大きな収穫よ。」
ガチャ
「もう、皆して僕のこと1人にしてさ。僕退屈だったんだから。」
「あら、それならアタシが遊んであげるわよ。」
「おかまはヤダ。」
「やばい……。」
「琉生クン、向こうで大事なお話しましょうね。アタシが全部大切なこと教えてあげるわ。」
「げ……花月ちゃん助けて~。」
いつもの賑やかな空気に戻った。琉生が来なかったらあのままどうなっていたのでしょうか。
------------------------------------------------------------------------
「琉生くん、寝るよ~」
あの一件のあと琉生くんへの皆からの感謝のためとかで琉生くんを私の部屋にいれることが決まった。
「え~…まだ起きてたい~!!」
「早く寝ないと大きくなれないよ。」
「それは嫌だ!大きくなれなきゃ花月ちゃんと結婚できないもん。」
「け、結婚⁉」
12歳の男の子でも随分と大人びているんだな。結婚だなんて考えたことないよ。
「ダメ…?」
琉生くんが上目遣いで私を見る。この攻撃はずるい。
「考えておく!ほら、もう消すから寝ようね。」
リモコンを押し電気を消す。暗い中に静けさが増す。
「さっきは皆で何を話してたの?」
「ん…、大したことじゃないよ。ちょっと女の子の話をしていたの。」
「女の子…?」
「昔ここに住んでいた女の子のお話。私も詳しくはわからないんだけどね。」
「女の子か~……女の子といえば、さっきキズちゃんの気配があった気がしたんだけどここに来たの?」
「違うと思う……な。」
琉生くんの不意な言葉に驚いた。琉生くんにバレてないよね…?
「そうだよね…キズちゃんがここに来るなんてことないよね…。てっきり僕を探しに来たのかと思ったんだけどな…。」
「キズさんのこと、好き?」
「うん。たまに暴走して怖いけど……本当はすごく優しいから好き。きっと花月ちゃんもキズちゃんのこと好きになるよ。」
「うん…きっとそうだね。」
キズさんが柚さんであること。これから彼女と…もしかしたら琉生くんたちとも敵対するかもしれないこと。
私の目に映る健気なこの少年の姿が私の心を締め付けた。
「それが…俺が忘れていたことなのか…?」
「そうよ。劉磨クンはよほどのショックで自分の記憶を封じていたの。アタシたちとしても忘れていてほしかったから記憶を戻さなかったの。」
「何があったのかはわからないけどどんな形であれ柚は生きている。たとえ中身は変わってしまったとしても…。」
「ただ1つわからないことがあります。私たちを怨んでいることはわかりますが何故花月さんのもとへ来たのでしょうか…。」
「それはたぶん…」
「止めてほしいんだと思います。自分たちがやっていることを……きっと。柚さんはまだ皆さんのこと……忘れていないから。」
私たちのことを信じていた彼女を私たちは裏切った。結局どの道を選んでいても彼女を幸せにできなかった。
償うべき罪はこれほど重いのですね。
コンコン
「花月ちゃん~!僕だけ仲間はずれにしないでよ!」
「る、琉生くん!?」
「大事なところだったのに…。」
「とりあえずこの話はおしまい。柚ちゃんが生きていたことだけでも大きな収穫よ。」
ガチャ
「もう、皆して僕のこと1人にしてさ。僕退屈だったんだから。」
「あら、それならアタシが遊んであげるわよ。」
「おかまはヤダ。」
「やばい……。」
「琉生クン、向こうで大事なお話しましょうね。アタシが全部大切なこと教えてあげるわ。」
「げ……花月ちゃん助けて~。」
いつもの賑やかな空気に戻った。琉生が来なかったらあのままどうなっていたのでしょうか。
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「琉生くん、寝るよ~」
あの一件のあと琉生くんへの皆からの感謝のためとかで琉生くんを私の部屋にいれることが決まった。
「え~…まだ起きてたい~!!」
「早く寝ないと大きくなれないよ。」
「それは嫌だ!大きくなれなきゃ花月ちゃんと結婚できないもん。」
「け、結婚⁉」
12歳の男の子でも随分と大人びているんだな。結婚だなんて考えたことないよ。
「ダメ…?」
琉生くんが上目遣いで私を見る。この攻撃はずるい。
「考えておく!ほら、もう消すから寝ようね。」
リモコンを押し電気を消す。暗い中に静けさが増す。
「さっきは皆で何を話してたの?」
「ん…、大したことじゃないよ。ちょっと女の子の話をしていたの。」
「女の子…?」
「昔ここに住んでいた女の子のお話。私も詳しくはわからないんだけどね。」
「女の子か~……女の子といえば、さっきキズちゃんの気配があった気がしたんだけどここに来たの?」
「違うと思う……な。」
琉生くんの不意な言葉に驚いた。琉生くんにバレてないよね…?
「そうだよね…キズちゃんがここに来るなんてことないよね…。てっきり僕を探しに来たのかと思ったんだけどな…。」
「キズさんのこと、好き?」
「うん。たまに暴走して怖いけど……本当はすごく優しいから好き。きっと花月ちゃんもキズちゃんのこと好きになるよ。」
「うん…きっとそうだね。」
キズさんが柚さんであること。これから彼女と…もしかしたら琉生くんたちとも敵対するかもしれないこと。
私の目に映る健気なこの少年の姿が私の心を締め付けた。