生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―劉磨side—

「別に守ってくれとは言わない。ただお前らに協力する代わりここにおいてほしい。」


「おいてほしいって…何言ってるの…?」

「もう黒鬼院様のもとには帰れない。それに、俺らにはほかに行く場所ねえから。」




次々と考え込むメンバー。まあ、俺もこいつらをここにおくことは賛成できない。使える部屋だってない上に、もし花月が襲われたりでもしたら……



「輝石、やめましょう。彼らが私たちを置いてくれるわけがありません。花月さんのことがありましたし…。」
「そうだよな……無理言って悪かった。」


「待って……。」


「どうした、花月。」


「本当に…目的を教えてもらえるんですか…?」

「ここに置いてくれればね。」


「だったら…ここにいてください。」



「おい、花月。何言ってんだよ。お前を1度攫ったやつらだぞ。また何かされるかも…」

「でも私は知りたい。その黒鬼院様がなんで私を必要としていたのか、一体何を考えているのか。それに…白銀くんたちを見捨てられないよ。」



「花月さん…いくら貴女の頼みでもこればかりは聞けません。貴女を攫ったということもありますが彼らは今も黒鬼院の手の上にいます。またいつ暴走するかもわかりません。そうなったときに狙われるのは貴女であり面倒ごとを受け持つのは私たちです。」


「私は狙われても構いません。自分の身くらい自分で守れます。」






いつにもなくムキになる花月。そんなにこいつらのことが好きなのかよ。

ムカつく。



「じゃあ俺から身を守ってみろよ。」
「え…?」


少し卑怯だけど後ろに回り込み花月を羽交い絞めにする。俺の腕の中で暴れる花月。でも当然俺のほうが力が強いわけで逃げられない。



「劉磨さん、放して。」



正直、あいつらを必死に庇う花月を見て嫉妬した。琉生のときだってそうだ。俺らに対しては必死になったことなんてないのに……



「自分の身くらい守れるんだろ?じゃあ逃げてみろよ。俺の腕から。」
< 110 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop