生贄の花嫁      〜Lost girl〜
あれから数週間がたち、ますます劉磨さんたちと会話をしなくなった。


琉生くんたちは聖さんと仲良くなり、今では…


「聖さん、僕のお菓子がない。」
「今新しいの持ってくる。」

「聖先輩、ここ教えてください。」
「どこだ。ああ…これは」


仲がよろしいことで。



でも劉磨さんたちは相変わらず琉生くんたちとは話さず、それどころか聖さんのことも無視するようになった。

そんなのおかしいから皆と話し合ってくるって何度も私が言っても聖さんには


「いいんだよ、俺が勝手にしたことだから。」

と言われてしまった。



「珍しく不機嫌だな、花月。」

「だって、なんか皆が話してない情景って見たことなかったからあからさまに仲間外れにされているみたいでさ…。」



「てっきり花月さんは私たちのほうに味方してくださってるのだと思っていましたが違うのですか?」
「え…?」


「あのとき、あんなに必死に私たちを泊めたいと懇願されていたので彼らのことはもうどうでもいいのかと思っていました。」



「いや…私はただ…。」



「正義感からですか?それとも自己満足ですか?私たちが言えることではありませんが今のこの状況を作った原因は貴女でもあります。貴女は私たちのことを助けようとしたのでしょうが度が過ぎるとただのおせっかいですよ。」



私はずっと琉生くんたちのためを思ってここに泊めたいと言っていたのに、橙さんにこんな言い方をされるだなんて思ってもいなかった。



「まあ、そこに甘えている私たちに言えることではありませんが。」


「じゃあ…私のせいで…皆は対立したの…?」


「少なくとも聖さんが皆さんから無視されているのはそうでしょうね。」




私のせいで…今の状況ができてしまった。私のせいで……


「李仁、花月を責めるな。花月も俺のことなんか考えなくていいから。あいつらもそのうち分かってくれるはず。」


私がこの状況を作ってしまったんだから…自分でどうにかしなきゃ。劉磨さんたちと話し合う覚悟を決め静かに大広間を出た。
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