生贄の花嫁      〜Lost girl〜

★第3話 隠された秘密

「ん…朝…?爺や、モーニングティーを。」

いつもの鳥の鳴き声が聞こえない。爺やが来る気配もない。

そうだ…悠夜さんたちの屋敷にお世話になっているんだった。いつもとは少し違う朝を迎える。

今は朝の6:30。食事までまだ時間はある。


「とりあえず着替えよう。」

ベッドから起き上がりクローゼットを開く。昨日の夜はネグリジェだけだったからさほど困らなかったけれど、洋服の着合わせなんて考えたこともない私には、何を着ればいいのか分からない。それに見たことが無い洋服ばかり。袖が無い服、短すぎるスカートやズボン…。こんなの着たら雪乃に、怒られそうね。

「着るしかないか…。」

1番目を引いた白のレースの服とジーンズ生地のショートパンツ。ネグリジェを脱いで洋服を着てみる。

「意外と悪くないかも…。」

でも、こんなに短い洋服だとさすがに寒い。クローゼットにかけてあった上着をとり羽織る。

こんなかんじでいいかな?


時計を見ると、気づけば時計は6:50を指していた。


「朝食の時間…行かなきゃ。」
--------------------------------------------------------------------

「おはようございます…。」

「花月チャン、おはよう。昨日はよく眠れた?」
「はい。少しは眠ることができました。あの、他の皆さんは…?」

「悠夜と奏クンはもうそろそろ起きてくると思うわよ~。劉磨クンと聖クンは朝ごはんを食べないの。」

「そうなんですか…。」


「おはよう~!」
「全く、朝から騒がしい。少しは静かにできないのですか?」

「あ、お2人ともおはようございます…。」

「さあ、みんな揃ったからご飯にしましょう。」

「いただきます…。」

今朝の食事は、ポタージュ、スコーンにオムレツ。とても温かくて美味しい。

「あ、それと花月さん、今日から午後の予定は空けといてください。」
「午後…ですか?何かあるのですか?」

「学校だよ、学校!」
「学校…?」

「僕たちが通う夜間制の学校なんだよ。夕方から夜22:00まで屋敷に1人きりにするのは寂しいかなって思って。一緒に行ってみない?」

「いって…みたい…です。」

「入学手続きは既にしておきました。あと、これを貴女に渡しておきます。食事中に席を立つなど、行儀が悪いのであまりしたくはありませんが…。」


大きな袋を渡される。中を覗くとスカートとシャツが入っていた。

「これって…?」
「制服だよ。とりあえずサイズが分からなかったからMサイズにしちゃったけど。」

「ありがとうございます…。」

「学校には皆で行きますので、15:00頃には降りてきてください。」

「はい。あ、ごちそうさまでした。」
「お粗末様でした。」
< 12 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop