生贄の花嫁 〜Lost girl〜
第18話 試される真実
見覚えのある屋敷に連れられ廊下を歩く。長い廊下にはいくつもの扉が取り付けられていて奥に行けば行くほど何か不穏なものを感じさせる。
「あなたはギャーギャー喚かないのね。」
「喚いたところで逃げられませんから…。」
「ま、利口だと思うわよ。過去に連れてきた女のほとんどはこの廊下で抹殺されていたから。」
「殺……?」
「黒鬼院様のもとにつく前に逃げ出そうとして首元をグサリと……。」
「それは…キズさんがやったんですか?」
「私がやるときもあったけど、ほとんどはこの扉の奥にいる腹を空かせた下層吸血鬼たち。後片付けをしなくていいから楽だって黒鬼院様はおっしゃっていたけど。」
「後片付けって……。」
「血肉をすべて奪われ骨だけが残る。まあ、あなたがもし彼らの餌食になったら骨も残さず食べられてしまうと思うけど。」
恐怖とかそういうものはほとんど感じなくなっていた。ただ、皆が来てくれることを…それだけを心の底で願っていた。
「あいつらが迎えに来ることを待っているの?」
「はい…皆を信じていますから。」
「そう……伏せて!」
「え…?」
グシャ
背後で何かがつぶれた音がする。ポタポタと何かが滴る音。それを血だと感じるまで時間はかからなかった。
「全く…自分たちでこのドアを開けてしまうだなんて…。」
キズさんが槍を構える。恐ろしくて後ろを振り向くことができなかった。
「向こうのほうで待っていなさい。こいつらを片付けるから。」
背中を押される。後ろを振り返ることなく言われた通りその場を離れた。その間も後ろから聞こえる何かを刺す音と呻き声。その音が私の頭を恐怖で支配し始める。
「逃げなきゃ……。」
ふと、耳に手をやるとそこにあるべきものがついていない。
「イヤリングが…ない…。」
慌てて来た道を見るがどこにもイヤリングと思われしきものは落ちていなかった。もしかしてさっきキズさんに背中を押されたとき…?
ごめんなさい…キズさん。その思いを抱えながら来た道を戻った。
「あなたはギャーギャー喚かないのね。」
「喚いたところで逃げられませんから…。」
「ま、利口だと思うわよ。過去に連れてきた女のほとんどはこの廊下で抹殺されていたから。」
「殺……?」
「黒鬼院様のもとにつく前に逃げ出そうとして首元をグサリと……。」
「それは…キズさんがやったんですか?」
「私がやるときもあったけど、ほとんどはこの扉の奥にいる腹を空かせた下層吸血鬼たち。後片付けをしなくていいから楽だって黒鬼院様はおっしゃっていたけど。」
「後片付けって……。」
「血肉をすべて奪われ骨だけが残る。まあ、あなたがもし彼らの餌食になったら骨も残さず食べられてしまうと思うけど。」
恐怖とかそういうものはほとんど感じなくなっていた。ただ、皆が来てくれることを…それだけを心の底で願っていた。
「あいつらが迎えに来ることを待っているの?」
「はい…皆を信じていますから。」
「そう……伏せて!」
「え…?」
グシャ
背後で何かがつぶれた音がする。ポタポタと何かが滴る音。それを血だと感じるまで時間はかからなかった。
「全く…自分たちでこのドアを開けてしまうだなんて…。」
キズさんが槍を構える。恐ろしくて後ろを振り向くことができなかった。
「向こうのほうで待っていなさい。こいつらを片付けるから。」
背中を押される。後ろを振り返ることなく言われた通りその場を離れた。その間も後ろから聞こえる何かを刺す音と呻き声。その音が私の頭を恐怖で支配し始める。
「逃げなきゃ……。」
ふと、耳に手をやるとそこにあるべきものがついていない。
「イヤリングが…ない…。」
慌てて来た道を見るがどこにもイヤリングと思われしきものは落ちていなかった。もしかしてさっきキズさんに背中を押されたとき…?
ごめんなさい…キズさん。その思いを抱えながら来た道を戻った。