生贄の花嫁      〜Lost girl〜
あの後、体調が回復した柚さんは「皆をよろしくね。」とだけ言って旅に出て行ってしまった。
寂しいメンバーもいたみたいだけど、柚さんが「絶対に戻ってくる。」と言ってくれたからか、みんな笑って柚さんを送り出すことができた。



白銀くんたちはというと………



「今回の事件において諸君らの活躍に感謝し、貴族隊に任命する。」
「ありがとう…ございます。」




今回の事件を吸血鬼協会に報告し貢献したということで吸血鬼協会直々の貴族隊に任命された。



奏は、「僕たちが解決したのに。」って言っていたけれど皆の意思で輝石くんたちの手柄にすることにしたみたい。


下層吸血鬼への支援も行っていて、共存できる世界にしたいと言っていた



相変わらず私はいつも通り騒がしい毎日を送っている。




「聖、アイロンかけてある制服どこ?」
「あ、あっちに干してある。」

「あら、これじゃない。ちゃんと片付けるのよ。」




きっとこれからも皆との生活はずっと続いて行く。辛いことも楽しいこともいっぱいあると思う。
でも私はもう迷わない。ここで生きて楽しい時を紡いでいきたい。




「いつもの時間ですよ。ですが今日は皆さんにつたえることが1つあります。吸血鬼協会から手紙が届きました。契りの儀式を行うのは4か月後の満月の晩までとのことです。」



「そういえば、聞いたことなかったよね。花月は今この中で誰が好きなの……?」
「いえ、それは……。」






「俺がいないとお前はダメなんだから俺に決まっているよな。」

「花月は僕とのほうが楽しいし僕に愛されたいでしょ?」

「俺は……お前のことが心から好きだ。お前が嫌なものから守るし楽しめることも多くて一緒にいたい。」

「私の元へとくれば貴女を大人の女性にさせてあげますよ。大人の愉しさを教えて差し上げます。」

「アタシは花月チャンのやりたいこと、したいこと何でも望みをかなえてあげるわ。それに……男の良さも。」





「さあ、誰を選ぶ……?」


「わ、私は………」


―第1章 完―
< 141 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop