生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「ブラウニーにマドレーヌ、フィナンシェも用意した。さあ、好きなだけ食え。」



いや…この量…どう考えてもお茶会の量じゃない。



「ああ、好きなだけ食う。」
「お前に言ったんじゃねえよ。花月に言ったんだ。お前は茶だけ飲んでろ。」

「さすがにこの量…食べきれないよ。悠夜さんたちも呼ぼう。」

「そりゃねえだろ、俺はお前のために……」

「たまにはそういうのもいいな。皆で食う方がうまい。」

「チッ……。呼んでくりゃいいんだろ。」




劉磨さんが皆を呼びにいく。聖さんと私だけが大広間に残る。


「花月、いつもの顔に戻ったな。もう…寂しくないか……?」

「うん……。寂しくないよ。ありがとう。」

「お前には笑った顔がよく似合う。俺はお前のためなら何でもする。だから無理だけはするなよ。」
「私…そんなに甘えていいのかな……?」


「まだ……自分は誰かを巻き込むとか、自分のせいで迷惑かけるとか……思ってるのか…?」

「なんで……?」


「なんとなく。お前は人のことは心配して面倒見るのに、自分のことは表に出そうとしないだろ。琉生たちの時も、柚の時も、お前は自分よりも他人を優先してた。それはお前の優しさでいいところだ。でも……時々心配になる。もっと自分のために生きろ。」


「ありがとう……。」
< 157 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop