生贄の花嫁 〜Lost girl〜
トレーニングが終わりお風呂に入ると豪華な夕食が並んでいた。たくさん運動したからか、いつもよりも食べてしまった。
「明日もトレーニングかな……。」
階段をあがり廊下に出たとき、私の部屋の前に人が立っていた。
「悠夜さん……?」
「少し、お聞きしたいことがありましたので来ました。」
「あ、それなら、部屋にどうぞ。十分なおもてなしはできませんが……。」
悠夜さんが話をするときはいつも真剣な話が多い。だからきっと、廊下でない方がいい。聖さん以外の人を部屋に上げたことがあまりないから少し緊張するけど……
「紅茶、淹れますね。お好きなところに座っていてください。」
「いえ、お構いなく。単刀直入にお聞きします。奏と何かありましたか…?」
「あ…それは……。」
悠夜さんだったら、奏の口調とか雰囲気が変わったこと…気になるよね……。
「奏は気分の上がり下がりが多いことは以前からよくありましたが、今日の奏はいつもよりも一歩引いているように見えました。私たちの言うことはあまり聞きませんが、貴女の言うことならおそらく聞くでしょう。何か注意でもしたのですか…?」
「いえ……私が何か言ったというより、奏自身が決めたことです。」
「奏が……?」
「はい……。私は…私の心は、誰かに向いていて、奏への気持ちは家族としての好きだ、と言われました。私がそのことに気づくのはまだ先のことで自分で気づかなきゃいけないと。だから、これからは家族として……支える側として好きでいて、背中を押して一緒にいるべき相手と幸せになってほしい。これが私への好きという気持ちでありたい。そう、言われました。」
「あの奏がですか……。」
「だから…きっと、今日の口調や言動もそのためだったんだと思います。」
「そうですか……つまり奏は婚約候補を辞退するということですか。私たちとしては悪い話ではありませんが、貴女はどう思いますか…?」
「私は…奏が決めたことだから…とやかく言うつもりはありません。家族として違えることがないのであればいいです。」
「それなら…笑ってください。今日の貴女は少し悲しい顔をしていましたので何かあったのではないかと……心配しました。貴女の笑顔が私たちにとってエネルギーとなります。」
「ご心配おかけしてすみません…。」
「やはり貴女は優しいですね。」
「……?」
「とても繊細で常に他人のことを思いやる優しい人です。ですが……そろそろ自分のことを思いやってはいかがですか…?今まで他人のために費やした分今度は自分のために生きてみては…?時には我が儘になってみてもよろしいかと。劉磨や泰揮ほど自由すぎるのは困りますが、貴女は自身を律することができる人ですから大丈夫でしょう。」
「私はもう…我が儘です。皆さんにたくさんのものを頂いている果報者です。」
「まだまだ私は貴女に渡せていないものがありますよ。手始めにこれをどうぞ。体を休めるためのストレッチやマッサージ方法を記したノートです。あれだけ体を使ったのですから今日はもう体を労わってください。」
「ありがとうございます…。」
「……それでは、話も済んだことですし、お暇させていただきます。これ以上長居すると貴女に負担をかけてしまいそうなので。また明日、トレーニングに励みましょう。」
「はい。」
「それと……私は絶対に辞退などしません。貴女と一生を添い遂げたいと願っています。貴女の心の中に入りたい、そう願っています。それでは、おやすみなさい。」
それだけ言い残すと悠夜さんは部屋を出て行ってしまった。
「一生を添い遂げる…か。」
あれ……もしかして、今のって……プロポーズ…じゃないよね……?
「明日もトレーニングかな……。」
階段をあがり廊下に出たとき、私の部屋の前に人が立っていた。
「悠夜さん……?」
「少し、お聞きしたいことがありましたので来ました。」
「あ、それなら、部屋にどうぞ。十分なおもてなしはできませんが……。」
悠夜さんが話をするときはいつも真剣な話が多い。だからきっと、廊下でない方がいい。聖さん以外の人を部屋に上げたことがあまりないから少し緊張するけど……
「紅茶、淹れますね。お好きなところに座っていてください。」
「いえ、お構いなく。単刀直入にお聞きします。奏と何かありましたか…?」
「あ…それは……。」
悠夜さんだったら、奏の口調とか雰囲気が変わったこと…気になるよね……。
「奏は気分の上がり下がりが多いことは以前からよくありましたが、今日の奏はいつもよりも一歩引いているように見えました。私たちの言うことはあまり聞きませんが、貴女の言うことならおそらく聞くでしょう。何か注意でもしたのですか…?」
「いえ……私が何か言ったというより、奏自身が決めたことです。」
「奏が……?」
「はい……。私は…私の心は、誰かに向いていて、奏への気持ちは家族としての好きだ、と言われました。私がそのことに気づくのはまだ先のことで自分で気づかなきゃいけないと。だから、これからは家族として……支える側として好きでいて、背中を押して一緒にいるべき相手と幸せになってほしい。これが私への好きという気持ちでありたい。そう、言われました。」
「あの奏がですか……。」
「だから…きっと、今日の口調や言動もそのためだったんだと思います。」
「そうですか……つまり奏は婚約候補を辞退するということですか。私たちとしては悪い話ではありませんが、貴女はどう思いますか…?」
「私は…奏が決めたことだから…とやかく言うつもりはありません。家族として違えることがないのであればいいです。」
「それなら…笑ってください。今日の貴女は少し悲しい顔をしていましたので何かあったのではないかと……心配しました。貴女の笑顔が私たちにとってエネルギーとなります。」
「ご心配おかけしてすみません…。」
「やはり貴女は優しいですね。」
「……?」
「とても繊細で常に他人のことを思いやる優しい人です。ですが……そろそろ自分のことを思いやってはいかがですか…?今まで他人のために費やした分今度は自分のために生きてみては…?時には我が儘になってみてもよろしいかと。劉磨や泰揮ほど自由すぎるのは困りますが、貴女は自身を律することができる人ですから大丈夫でしょう。」
「私はもう…我が儘です。皆さんにたくさんのものを頂いている果報者です。」
「まだまだ私は貴女に渡せていないものがありますよ。手始めにこれをどうぞ。体を休めるためのストレッチやマッサージ方法を記したノートです。あれだけ体を使ったのですから今日はもう体を労わってください。」
「ありがとうございます…。」
「……それでは、話も済んだことですし、お暇させていただきます。これ以上長居すると貴女に負担をかけてしまいそうなので。また明日、トレーニングに励みましょう。」
「はい。」
「それと……私は絶対に辞退などしません。貴女と一生を添い遂げたいと願っています。貴女の心の中に入りたい、そう願っています。それでは、おやすみなさい。」
それだけ言い残すと悠夜さんは部屋を出て行ってしまった。
「一生を添い遂げる…か。」
あれ……もしかして、今のって……プロポーズ…じゃないよね……?