生贄の花嫁 〜Lost girl〜
第25話 悪魔のシナリオ(後編)
悠夜さんから逃げて教室にたどり着いた。学園の生徒は皆グラウンドにいる。今は1人になれると思ったからここへきた。
「大切なものを守れる世界…か…。」
私は……大切なものを1度も守れなかった。今までもそう。傷つけて…巻き込んで…それでものうのうと生きていたんだ。
「あらぁ…?なんで貴女がここにいるのかしら…?」
「楓さ……ん…。」
「あの子たち…何もできなかったの…あずさまでいたのに…。そんなに…そんなに貴女に存在価値があるのかしら。」
「私は…私には…存在価値なんて…大それたものは…。」
「謙遜…?それとも私への嫌味かしら。そんなに”いい人”であるなら、取引するのも悪くなさそうね。」
「取引……?」
「そこの窓から飛び降りてくれる?大丈夫…痛みなんて感じる前にすぐ死ねるわよ。」
「飛び降りてって……。」
「聖を返してって言っても、簡単には返してくれないでしょ?だから、存在ごと消えてって言ってるの。簡単なことでしょ。」
この人……自分が何を言っているのかわかっているの……?
「そんなこと…できな…」
「できるわよ。いえ…できるように、条件を付けてあげるわ。1つ、結愛とあずさをペットから解放して自由にしてあげる。2つ、聖と婚約をもう1度結べたら、もう2度と彼らを巻き込まないし、誰かを標的にして遊んだりもしない。どうかしら…?」
結愛さんとあずささんが自由になれる…?聖さんたちも巻き込まなくて済む…?もう私みたいな目に遭う人もいなくなる…?
「貴女1人の命でたくさんの人が助かるのよ。そもそも価値がなかった貴女に価値が生まれるのよ。それだけでも十分だと思わない…?」
私がここで飛び降りれば……幸せになる人もいるのかもしれない。私も…誰かの役に立てるのかもしれない。
でも……私は……
「私は…貴女と取引なんてしない。飛び降りて死のうとだなんて思わない。たとえ誰かが私の犠牲になるとしても…それでも私は……」
前の私だったら……あの日の私だったら…きっと、死ぬことを選んでいた。誰も残っていない何も残っていない寂しい世界に生きていると思っていたから。未来なんてないものだと思っていたから。
でも、今は違う。
「この世界に生きていたい。皆と一緒に過ごして、笑って、泣いて、たくさんの感情と今を生きていきたい。」
「私に背くなんて許さない。あんたの命なんて私の手で簡単に捻りつぶせるの。あんたが自分で死なないなら、私が殺す。」
楓さんが傘を放り私の元へと飛び掛かってくる。14歳とは思えないほどの力。
「私は…私は、上に立つ人間なの。下に立つ人間にはその立場を分からせる義務があるの。逆らうやつには罰を与えるのは当たり前。自分のしていることを分からせるのよ。」
この人……
「大切なものを守れる世界…か…。」
私は……大切なものを1度も守れなかった。今までもそう。傷つけて…巻き込んで…それでものうのうと生きていたんだ。
「あらぁ…?なんで貴女がここにいるのかしら…?」
「楓さ……ん…。」
「あの子たち…何もできなかったの…あずさまでいたのに…。そんなに…そんなに貴女に存在価値があるのかしら。」
「私は…私には…存在価値なんて…大それたものは…。」
「謙遜…?それとも私への嫌味かしら。そんなに”いい人”であるなら、取引するのも悪くなさそうね。」
「取引……?」
「そこの窓から飛び降りてくれる?大丈夫…痛みなんて感じる前にすぐ死ねるわよ。」
「飛び降りてって……。」
「聖を返してって言っても、簡単には返してくれないでしょ?だから、存在ごと消えてって言ってるの。簡単なことでしょ。」
この人……自分が何を言っているのかわかっているの……?
「そんなこと…できな…」
「できるわよ。いえ…できるように、条件を付けてあげるわ。1つ、結愛とあずさをペットから解放して自由にしてあげる。2つ、聖と婚約をもう1度結べたら、もう2度と彼らを巻き込まないし、誰かを標的にして遊んだりもしない。どうかしら…?」
結愛さんとあずささんが自由になれる…?聖さんたちも巻き込まなくて済む…?もう私みたいな目に遭う人もいなくなる…?
「貴女1人の命でたくさんの人が助かるのよ。そもそも価値がなかった貴女に価値が生まれるのよ。それだけでも十分だと思わない…?」
私がここで飛び降りれば……幸せになる人もいるのかもしれない。私も…誰かの役に立てるのかもしれない。
でも……私は……
「私は…貴女と取引なんてしない。飛び降りて死のうとだなんて思わない。たとえ誰かが私の犠牲になるとしても…それでも私は……」
前の私だったら……あの日の私だったら…きっと、死ぬことを選んでいた。誰も残っていない何も残っていない寂しい世界に生きていると思っていたから。未来なんてないものだと思っていたから。
でも、今は違う。
「この世界に生きていたい。皆と一緒に過ごして、笑って、泣いて、たくさんの感情と今を生きていきたい。」
「私に背くなんて許さない。あんたの命なんて私の手で簡単に捻りつぶせるの。あんたが自分で死なないなら、私が殺す。」
楓さんが傘を放り私の元へと飛び掛かってくる。14歳とは思えないほどの力。
「私は…私は、上に立つ人間なの。下に立つ人間にはその立場を分からせる義務があるの。逆らうやつには罰を与えるのは当たり前。自分のしていることを分からせるのよ。」
この人……