生贄の花嫁      〜Lost girl〜

第28話 初めての協力

「えー、それでは文化祭の出し物を決めたいと思います。何かアイデアがある人は手を挙げてね。」


葉が鮮やかな色を纏うこの時期、この学校では文化祭というものが行われるようです。


「それにしても、この学校はイベント行事が多いんだね。」
「うん。学校を楽しい場所だと思えるように、生徒会がイベント行事を増やしているんだよ。」


「…文化祭はお祭り……この間のハロウィンよりももっと楽しい……。」




生徒会っていったい何者なんだろう……。



「はい、そこ、喋るなら手を挙げてね。」

「僕はやっぱり喫茶店がいいかな。飲食店の方が男女関係なく楽しめそうだし。」



「そりゃ上流階級の桃瀬たちは客側なんだから楽しいだろうけど、中流以下の俺らはずっと働くんだぜ。そんなの嫌だよ。」
「そーだそーだ。毎年階級差別あるもんな。そういうことに関しては生徒会も全く動かねえし。」


「うん。だから、今年は僕たちも店番をしてみようと思って。」

「は…?店番ってお前らが接客すんのかよ。」
「その通り。階級差別のない文化祭にしてこそ皆が楽しめるし、せっかくのクラスなんだから年に1回くらいはそういうことしてもいいかなって。」




「それって奏くんたちのエプロン姿とかも見られるってことかな。」
「それならうちら賛成だよ。」

「なら女子はメイドか…?俺メイドなんてワクワクするんだけど。」

「はーい、皆静かに。他にアイデアがないなら喫茶店で決まりますがどうですか?」
「異議ナーシ!」




私たちのクラスは喫茶店をやるのか……。喫茶店ってことは、コーヒーとか紅茶を淹れたりするのかな……。

「花月、俺と買い出しに行くか…?せっかくなら美味しい紅茶を揃えよう。美味しい菓子も。」
「うん。」



「じゃあ私たちは衣装係でもやろうか。男子の燕尾服と女子のメイド服を作るよ。」

「じゃあ後で紙配るからサイズ書いてねー。」




「ほんと、お前らは物好きだよな。誰が好き好んで文化祭なんか……。」
「あ、そうそう、赤羽くんは今年こそミスターコンでてもらうから、よろしくね。」
「ふざけんなよ水瀬…。」


「みすたーこんって何…?」
「ミスターコンテスト、略してミスターコン。学校内で行われる人気投票だよ。男子はミスターコン、女子はミスコンって言って、毎年盛り上がるんだー!」


「赤羽くん、不良キャラで顔は悪くないし継承者だから毎年オファーが来るんだよね。」

「お前ら好き勝手言いやがって……。」
「そうだ!せっかくなら花月ちゃんんもミスコンに出ればいいんだよ。そうすれば赤羽くんも出るよ。」


「ダメに決まってるでしょ、結愛。花月は人間なんだから全校生徒にお披露目なんかしたら危ないんだから。」
「そっかー…残念。せっかく可愛くしてあげたかったのに…。」
「メイドでも十分可愛くできるって。」





文化祭もまた何かが起きそうだな……。
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