生贄の花嫁      〜Lost girl〜
とうとう順番がきてしまった。まだ何も考えられていない……。どうしよう……。


「…花月、その……うまく言えるか分からないけど……聞いてほしい。俺は…初めてお前に会ったとき、一目ぼれをした。仲良くなれたら……なんて浮ついていた気もする。花月と一緒に暮らしていく中で共通の趣味を見つけたり、お茶会をしたりして少しずつ距離が近くなっていくのが嬉しくて……ずっとこの先も一緒にいられたら…って思っていた。花月が不安で心細いなら俺が傍にいて支える。花月が好きなことなら何回でも一緒に付き合って2人の時間を紡ぎたい。お前を幸せにするためなら何でもする。だから……結婚を前提に、俺と付き合って……ください。」












どんな言葉を言えばいいか、どうやって断ったら聖さんを傷つけないか。そればかり考えていた。私の中に恋愛感情はないと思っていたから。


でも……聖さんの言葉を聞いていて、私の中の何かが弾けた。鼓動が高鳴っていき、聖さんへの思いが溢れていく。文化祭の準備をしていた時の高鳴りも……今日の高鳴りも……ずっと同じだったんだね。


私は聖さんのことが好き。ずっとずっと好きだった。これが私の気持ちで聖さんへの思いなんだ。


「…花月、返事はすぐじゃなくていい、ゆっくり考え……」
「嬉しい……。嬉しいよ。聖さんの気持ちがすごく嬉しい。私も……伝えたいことがあるの。」


震える足で1歩ずつ聖さんのもとへと歩いていく。この気持ちはきちんと聖さんに伝えたい。伝えなきゃいけないんだ。

「…花月…?」
「私は……聖さんのことが好きです。大好きです。いつも一緒にいてくれて……嬉しかった。楽しかった。ありがとう……私と出逢ってくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう。これからも……一緒にいたいです。」


私の言葉で泣きそうな顔をする聖さんが愛おしくて……幸せな気持ちになる。




「…花月、愛している。」



抱きしめられるぬくもりが心地よくて気持ちがいい。フワフワして浮いているような感覚。首に回された手に従うよう聖さんと口づけを交わした。
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