生贄の花嫁 〜Lost girl〜
―楓side—
赤羽くんに連れられミスターコンテストの会場に来た。参加者は壇上に上がっているけど、赤羽くんがカッコイイ。ま、他の人と比べたら、だけど。
「楓さん、いらしていたのですか?」
「……藤林先輩もですか?」
「私は泰揮に無理やり連れてこられただけです。」
そういえば、泰揮クンもミスターコンテストに出るって言ってたっけ。
「貴女は何故ここに?午前のことは奏から聞いています。大丈夫なんですか…?」
「……うん……なんだか分からないけど平気なの。花月が怒ってくれて嬉しかった。赤羽くんが追いかけてくれて嬉しかった。」
「……もしかして今この場にいるのは劉磨……ですか……?」
「…うん……まだ……皆には内緒にして……。」
「人の恋路を私に止める権利はありませんが、間違いなく苦労しますよ。」
「……新鮮よ。今までしてこなかったもの。」
「まあ、その方が劉磨にとってもいいかもしれませんが……。」
「……え……?」
「いえ……今はまだ知らない方がいいですよ。」
「エントリーNo.4の赤羽劉磨。別に順位とかどうでもいいけど、毎年勧誘がしつこいから出ることにした。よろしく。」
「まったく……もう少し真面な言い方をできないものですかね。」
「赤羽くんらしいから別にいいと思う。勝つためのコンテストじゃないんでしょ。」
「そうですね……泰揮の自己紹介も似たようなものでしょうし、見届けることだけに専念するとしましょう。」
「エントリーNo8、黄之竹泰揮です。」
「えー!あれって黄之竹先輩!?雰囲気全然違う!」
「黄之竹先輩って、オネエなんじゃなかったっけ?」
「え、じゃあゲイなの…?」
「違うよ、バイだよ。」
「そうだっけ?」
「あれが泰揮…ですか……?」
私たちが目にした泰揮クンの姿はいつものような甘く優しい雰囲気ではなく、引き締まるようなどこか冷たく儚い姿だった。
「黄之竹さんはいつもと雰囲気が違いますがイメチェンですか?」
「そういうのではないです。ただ……今回、このコンテストで俺の……気持ちと男としての姿を見てもらおうと……思っただけです。」
「そ、そうですか……どのような素敵な姿が見られるかが楽しみですね。まずは、出演者の皆様に特技を披露していただきましょう!」
「…なんか、泰揮クン、様子が変だね。」
「あの様子だと……見たのでしょう。」
「……見たって何を…?」
「……。」
「……藤林先輩……?」
「……毎年この文化祭での様子を収めた写真が随時更新される特設サイトがあるのですが、そちらにある写真が先ほど掲載されていたんです。」
「ある写真……?」
「聖と花月さんがベストカップルコンテストに参加し、口づけを交わしている写真です。」
「……え……?」
「私も目を疑いましたがその場に居た知り合いに尋ねたら、聖の告白を受けた花月さんが聖と抱擁し……キスをしたと。あの様子だと、劉磨はまだ知らない様ですが泰揮はその事実を知ったのでしょう。」
「……でも、泰揮クン、あんなに保護者目線でいつも会話していたじゃない。もう諦めているってことでしょ…!?」
「泰揮は……本当の自分を決して誰にも悟られないようにしている……。いつも女言葉と冗談で装って明るく……綺麗な姿を作っている。本当に欲しいものすら求めない。」
「……どういうこと……?」
「……泰揮と私が出会ったのは、泰揮の母親の葬式でした。
赤羽くんに連れられミスターコンテストの会場に来た。参加者は壇上に上がっているけど、赤羽くんがカッコイイ。ま、他の人と比べたら、だけど。
「楓さん、いらしていたのですか?」
「……藤林先輩もですか?」
「私は泰揮に無理やり連れてこられただけです。」
そういえば、泰揮クンもミスターコンテストに出るって言ってたっけ。
「貴女は何故ここに?午前のことは奏から聞いています。大丈夫なんですか…?」
「……うん……なんだか分からないけど平気なの。花月が怒ってくれて嬉しかった。赤羽くんが追いかけてくれて嬉しかった。」
「……もしかして今この場にいるのは劉磨……ですか……?」
「…うん……まだ……皆には内緒にして……。」
「人の恋路を私に止める権利はありませんが、間違いなく苦労しますよ。」
「……新鮮よ。今までしてこなかったもの。」
「まあ、その方が劉磨にとってもいいかもしれませんが……。」
「……え……?」
「いえ……今はまだ知らない方がいいですよ。」
「エントリーNo.4の赤羽劉磨。別に順位とかどうでもいいけど、毎年勧誘がしつこいから出ることにした。よろしく。」
「まったく……もう少し真面な言い方をできないものですかね。」
「赤羽くんらしいから別にいいと思う。勝つためのコンテストじゃないんでしょ。」
「そうですね……泰揮の自己紹介も似たようなものでしょうし、見届けることだけに専念するとしましょう。」
「エントリーNo8、黄之竹泰揮です。」
「えー!あれって黄之竹先輩!?雰囲気全然違う!」
「黄之竹先輩って、オネエなんじゃなかったっけ?」
「え、じゃあゲイなの…?」
「違うよ、バイだよ。」
「そうだっけ?」
「あれが泰揮…ですか……?」
私たちが目にした泰揮クンの姿はいつものような甘く優しい雰囲気ではなく、引き締まるようなどこか冷たく儚い姿だった。
「黄之竹さんはいつもと雰囲気が違いますがイメチェンですか?」
「そういうのではないです。ただ……今回、このコンテストで俺の……気持ちと男としての姿を見てもらおうと……思っただけです。」
「そ、そうですか……どのような素敵な姿が見られるかが楽しみですね。まずは、出演者の皆様に特技を披露していただきましょう!」
「…なんか、泰揮クン、様子が変だね。」
「あの様子だと……見たのでしょう。」
「……見たって何を…?」
「……。」
「……藤林先輩……?」
「……毎年この文化祭での様子を収めた写真が随時更新される特設サイトがあるのですが、そちらにある写真が先ほど掲載されていたんです。」
「ある写真……?」
「聖と花月さんがベストカップルコンテストに参加し、口づけを交わしている写真です。」
「……え……?」
「私も目を疑いましたがその場に居た知り合いに尋ねたら、聖の告白を受けた花月さんが聖と抱擁し……キスをしたと。あの様子だと、劉磨はまだ知らない様ですが泰揮はその事実を知ったのでしょう。」
「……でも、泰揮クン、あんなに保護者目線でいつも会話していたじゃない。もう諦めているってことでしょ…!?」
「泰揮は……本当の自分を決して誰にも悟られないようにしている……。いつも女言葉と冗談で装って明るく……綺麗な姿を作っている。本当に欲しいものすら求めない。」
「……どういうこと……?」
「……泰揮と私が出会ったのは、泰揮の母親の葬式でした。