生贄の花嫁 〜Lost girl〜
―奏side—
こんな明らかに喧嘩でも起きそうな現場を任せないでよ…悠夜。
「…泰揮……何でこんなことした……。」
「言っただろ?合意の上で、だ。」
「…そうじゃねえ。何で……俺と花月が付き合おうって決めたこのタイミングでした……?」
「だからだよ。本当に花月が聖のことを好きなのかどうか確かめたかった。俺が入る隙間もないのであれば……花月が聖を選ぶことを譲らないのであればもう諦めるつもりだった。だが、花月の心には迷いがあった。だから、その迷いが消えないうちに俺のものにすれば……俺を選んでくれるだろうって思った。」
「…そんな卑怯なこと…今までの泰揮ならしなかっただろ!」
「お前に俺の何が分かる?今までの泰揮ならしない?それがどうした。今までお前らが見てた俺は本当の俺じゃない。自分を守るために偽ってきた偽物の俺だ。本当の俺が望んでしたことで合意の上での出来事だ。文句を言われる筋合いはない。」
あれ……?これって2人が飲んでいた紅茶のカップ……?
片方のコップの底にだけうっすらと粉がくっついていて、おかしな匂いがする。
「………。」
「聖、お前は相変わらず口喧嘩には弱いな。それとも……もう責め立てるところが見つからなくて何もできないか……?」
「…くっ……。」
「ねえ泰揮、本当に花月の合意の上でこんなことしたの…?」
「……そうだ。」
「……じゃあ聞くけど……このティーカップの底に残っている白い粉は何も関係ないわけ……?」
「……!!」
「…奏、粉ってどういうことだ……?」
「このティーカップ、配置からして奥に座っていたのが泰揮、ドアに近い方に座っていたのが花月だと思うんだけど、花月が使っていたティーカップの底にうっすらと溶けきらなかった粉がついてる。匂いからして砂糖じゃないよね。どういうことか……説明あるよね……?」
「………。」
「…泰揮…お前まさか……。」
「……強力な催淫効果のある媚薬を調合して作った。それを使った。」
やっぱりか……。合意の上で、という言葉を聞いている中僕の中にずっと違和感があった。たとえ本当に2人の行為が合意の上であったのだとしても、花月が簡単に身を許すとは思えなかった。
合意の上になってしまった原因があると思った。
「薬を使ったことは認める。でも……花月は俺とのキスもセックスも拒まなかったことは本当だ。」
「違うよ、泰揮。花月は拒まなかったんじゃない。拒めなかったんだよ。拒んだら泰揮を傷つけると思ったから。だから……薬の作用で体がおかしくなっていることにも気づかず、寧ろその高揚感と熱が泰揮への自分の好意なんだと錯覚したんだよ。」
「は……?」
「じゃあ聞くけど、行為の最中、花月は1度でも泰揮に『好き』だと言った……?」
「そんなの言わなくても……。」
「さっき泰揮は聖に、告白とキスだけで彼氏気取りか?って言って馬鹿にしてたけど、花月は、その告白で聖に『好き』だって伝えてたよ。」
「……。」
「もう負けだってことを認めなよ。聖と花月は本当に愛し合っていて交際を始めようとしたんだ。体で関係を繋ごうとしたって虚しいだけだよ。」
「何でだよ……。本当の俺を受け入れてくれる子に会えたのに……何で諦めなきゃいけないんだ……本当に愛していたのに……。」
「…泰揮…。」
「聖、後は僕が受け持つよ。聖は花月のところに行ってあげて。きっと花月は……聖に謝りたいだろうから……。」
「…奏…。」
「ほら、早く行けって言ってるだろ。付き合うんなら彼女の面倒くらい見るのが男だろ。」
こんな明らかに喧嘩でも起きそうな現場を任せないでよ…悠夜。
「…泰揮……何でこんなことした……。」
「言っただろ?合意の上で、だ。」
「…そうじゃねえ。何で……俺と花月が付き合おうって決めたこのタイミングでした……?」
「だからだよ。本当に花月が聖のことを好きなのかどうか確かめたかった。俺が入る隙間もないのであれば……花月が聖を選ぶことを譲らないのであればもう諦めるつもりだった。だが、花月の心には迷いがあった。だから、その迷いが消えないうちに俺のものにすれば……俺を選んでくれるだろうって思った。」
「…そんな卑怯なこと…今までの泰揮ならしなかっただろ!」
「お前に俺の何が分かる?今までの泰揮ならしない?それがどうした。今までお前らが見てた俺は本当の俺じゃない。自分を守るために偽ってきた偽物の俺だ。本当の俺が望んでしたことで合意の上での出来事だ。文句を言われる筋合いはない。」
あれ……?これって2人が飲んでいた紅茶のカップ……?
片方のコップの底にだけうっすらと粉がくっついていて、おかしな匂いがする。
「………。」
「聖、お前は相変わらず口喧嘩には弱いな。それとも……もう責め立てるところが見つからなくて何もできないか……?」
「…くっ……。」
「ねえ泰揮、本当に花月の合意の上でこんなことしたの…?」
「……そうだ。」
「……じゃあ聞くけど……このティーカップの底に残っている白い粉は何も関係ないわけ……?」
「……!!」
「…奏、粉ってどういうことだ……?」
「このティーカップ、配置からして奥に座っていたのが泰揮、ドアに近い方に座っていたのが花月だと思うんだけど、花月が使っていたティーカップの底にうっすらと溶けきらなかった粉がついてる。匂いからして砂糖じゃないよね。どういうことか……説明あるよね……?」
「………。」
「…泰揮…お前まさか……。」
「……強力な催淫効果のある媚薬を調合して作った。それを使った。」
やっぱりか……。合意の上で、という言葉を聞いている中僕の中にずっと違和感があった。たとえ本当に2人の行為が合意の上であったのだとしても、花月が簡単に身を許すとは思えなかった。
合意の上になってしまった原因があると思った。
「薬を使ったことは認める。でも……花月は俺とのキスもセックスも拒まなかったことは本当だ。」
「違うよ、泰揮。花月は拒まなかったんじゃない。拒めなかったんだよ。拒んだら泰揮を傷つけると思ったから。だから……薬の作用で体がおかしくなっていることにも気づかず、寧ろその高揚感と熱が泰揮への自分の好意なんだと錯覚したんだよ。」
「は……?」
「じゃあ聞くけど、行為の最中、花月は1度でも泰揮に『好き』だと言った……?」
「そんなの言わなくても……。」
「さっき泰揮は聖に、告白とキスだけで彼氏気取りか?って言って馬鹿にしてたけど、花月は、その告白で聖に『好き』だって伝えてたよ。」
「……。」
「もう負けだってことを認めなよ。聖と花月は本当に愛し合っていて交際を始めようとしたんだ。体で関係を繋ごうとしたって虚しいだけだよ。」
「何でだよ……。本当の俺を受け入れてくれる子に会えたのに……何で諦めなきゃいけないんだ……本当に愛していたのに……。」
「…泰揮…。」
「聖、後は僕が受け持つよ。聖は花月のところに行ってあげて。きっと花月は……聖に謝りたいだろうから……。」
「…奏…。」
「ほら、早く行けって言ってるだろ。付き合うんなら彼女の面倒くらい見るのが男だろ。」