生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「12月22日~25日までの間、花月ちゃんとどうしても女子会お泊りクリスマスパーティしたいの!花月ちゃんを貸してください!」


「…えっと、何でそれを俺に……?」


教室に入るなり結愛ちゃんは聖さんのもとへと向かっていった。


「だって、花月の彼氏は緑川くんだから。ほら、恋人を借りちゃうわけだから彼氏の緑川くんに頼むのが筋かと……。」


「お前、クリスマスはうちでやりゃいいじゃねえか。」

「赤羽くんもたまには気の利いたこというね。でも、今回は結愛と花月と3人での女子会だからダメ。」

「お前、女じゃなかったらぶっ飛ばすとこだ。」

「女に生まれててよかったー。」




「もう、あずさトラブル起こさないでよー。」
「あー、ごめんごめん。で、緑川くんとしてはどうかな……?」



「…俺は別に構わないけど……。」

「よかったー!じゃあ、22日の朝9:00に迎えに行くから、花月ちゃん、準備しておいてね。」

「うん…!」




じゃあね、と言って、次のクラス分け授業に行ってしまう結愛ちゃんとあずさちゃん。お友達のお家で過ごすクリスマスだなんて初めてだな……人生初めてのアルバイトもあるから頑張らなくちゃ。



「なんか、花月すごく幸せそうだね。」


「うん。一生懸命頑張るんだ!」

「頑張るって……何を……?」



まずい……うっかり口を滑らせてしまいそうになってしまった。誤魔化さないと……。


「ほ、ほら、女の子で集まるんだから、きっと女子力あげる特訓もするからってことだよ!」


「花月が吸血鬼になったから、前よりは僕たちも安心している部分もあるんだけど、何かあったら必ず僕たちに電話かメールをすること。この間、スマートフォンを渡したでしょ?」


そう。私の吸血鬼化を祝って…?なのか、スマートフォンという携帯を買ってもらいました。そもそも携帯なんて知らなかった私にはなかなかうまく使いこなせないわけで……。


「…スマホの使い方も水瀬たちに教えてもらえ。女子の方がそういうの得意だろうし。」

「うん。4日間の間、聖さんにも…もちろん皆さんにもメールしますから。」

「花月、僕たちのことは後回しでいいよ。それより思いっきり楽しんできなよ。ほら、花月も教室移動しないと次の授業遅れちゃうよ。」

「あ、本当だ!それじゃあ、いってきます!」


「いってらっしゃいー。」
< 247 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop