生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「い、いらっしゃいませー……クリスマスケーキはいかがですか…?」



「ママ―、ケーキ買ってー。」

「そうねえ……すみません。」


「は、はい!」
「子供と私だけで食べる用に買いたいんだけど、少なめのってあるかしら?」


「はい。こちら、カットケーキでの販売もしておりますのでお好きなケーキをお選びください。」


「お姉ちゃん、目の色が右と左で違うんだね。」
「こら、幸奈、そういうこと言っちゃダメでしょ。」

「なんで…?目の色が綺麗だなって思ったんだよ。」


子どもの言葉ってとても分かりやすい。そして、とても心に響く。


「ありがとう。ケーキは好き?」
「うん!大好き!お姉ちゃんたちは顔がそっくりだね。」

「あはは、ありがとう。幸奈ちゃんはお兄ちゃんとかお姉ちゃんとかはいる?」

「ううん。パパとママと、幸奈の3人だよ。」


「じゃあ、パパとママを1人占めだね。幸せなクリスマスになるといいね。」
「うん!」



「苺のカットケーキ2つで690円です。」

「はい。この寒い中幸せをくれてありがとう。」
「いえいえ。ハッピーメリークリスマス!」


「お姉ちゃんたちバイバーイ!」
「あ、ありがとうございました!」



「なんか心がほくほくしたね。子供って可愛いなー。」

「花月も少し慣れてきたんじゃない?顔が引きつらなくなったし。」

「緊張してるよ。でも、初日なのにいろいろな人に喜んでもらえて幸せだなって思ってたら楽しくなってきた。」

「たしかに今年は売上が格段にいいね。花月がいるおかげかな。」

「よーし、私たちも頑張らなくちゃ!!」
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「3人とも、お疲れ様。そろそろお昼だから休憩行っといで。」

「あ、店長さん。」




ここのケーキ屋さんの店長さんは中性的な女性ですらっとしていてカッコいい。同性からも異性からも人気がありそう。



「店長、ありがとうございます。今年はよく売れてますよー。」

「本当にありがとねー。結愛ちゃんたちがいい子見つけてきてくれたおかげだよ。」

「去年は大変でしたからねー。ただでさえ雪が降ってて人が少なかったうえに、結愛がケーキをひっくり返していくつか無駄にしてましたし。」

「そういうあずさはお釣り間違えててお客さんにめちゃくちゃ怒鳴られてたじゃん。」

「2人は去年もアルバイトしてたの?」

「うん、まあね。人間界だとアルバイトって高校生からみたいだけど、こっちの世界は中学生からOKだからね。」
「へ、へえ……。」



すごいな2人とも。私、去年の今頃って何してたかな…?


「ほら、休憩に行った、行った。」

「さ、花月ちゃん、選びに行くよー!」
「……?」
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