生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「私はー、メロンパンとピザ。」

「私はカレーパンとクリームパンかな。」



目の前に広がっている綺麗なお皿の上にはたくさんのパンが並んでいた。


選ぶってこのことだったのか……。


「このパンって…。」

「店長ってパンも作れるんだよ。毎年、このバイトの時だけ私たちのために作ってくれるんだって。」

「お昼代うくから有難いんだよね。」
「ほら、花月ちゃんも好きなの持ってって。」



2人に勧められ、メロンパンとクロワッサンを選んだ。これを手作りしてくれたんだ……。店長さん、すごいな。



「休憩室はこっちねー。飲み物も好きなの飲めるよ。」



休憩室に入ると不思議な機械が置いており、『コーラ』や『ジンジャーエール』と書かれたボタンがついていた。


「私のおススメはねー、100%のオレンジジュース。」

「結愛は相変わらずお子様だね。私はジンジャーエール。」

「これって、飲みものが出てくるんですか…?」

「そっかー、花月ちゃんはファミレスとか行かないのか。これね、ここにコップを置いて、ボタンを押すと……ほら、飲み物が注がれるんだよ。」



「吸血鬼の世界ってすごい……。」
「いや、これ人間界にもあるから。」



こんなに最近のテクノロジーって進んでいるのか。今度皆にも教えてあげよう…。


「私も…オレンジジュースにする。」


コップを置いて……ボタンを押す。


「わあ…出てきた。」




「ほら、こっちで食べるよ。」
「う、うん!」

「それじゃあ、手を合わせてー……いっただっきまーす!」


初めてのアルバイトで友達と食べたランチは今までのランチよりも格段に美味しく感じた。
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