生贄の花嫁      〜Lost girl〜
あの後、柚さんが入ってくれたことで一気にケーキが売切れていった。後で聞いたら接客経験あるらしくて露店販売なんてお手の物だって言っていた。


「私たちはこれから結愛ちゃんの家に行きますが、柚さんはどうしますか?」

「まあまだ屋敷に行けないからホテルでも探すよ。」


「それならうちにくれば……?あんた、思ったよりも悪い人じゃなかったみたいだし、花月の友達だから。」
「それはどうも。じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔します。」



何だろう。結愛ちゃんたちと柚さんの間に何か火花が散って見えたような……。

このアルバイトの4日間、大丈夫かな……?



「花月、あの2人とはどういう関係なの…?」

「どうと言われましても……お友達です。」


「友達って…あいつら朱鷺院楓の側近じゃないの…?」


そうか、柚さんは2人がまだいじめをしていると思ってるのか。それなら、今はもう何もしていなくて、いい人たちだって分かってもらえれば、柚さんも仲良くなれるかもしれない……?


「私…一肌脱ごう。」
―――――――――――――

「ただいまー。」
「あら、おかえりなさい。」


結愛ちゃんたちの家に着くと結愛ちゃんたちのお母さんが温かく迎え入れてくれた。



「あらあら、そちらのお2人はお友達かしら?」

「まあ、そんなところだよ。」


「いつもうちの結愛とあずさがお世話になっています。」
「と、とんでもないです。私の方がお世話になりっぱなしで…。」



「うちはそんな豪華なものは出せませんがゆっくり過ごしてちょうだい。」

「あ、ありがとうございます!」



「ほら、花月…と、立花さん、部屋を案内するよ。こっち来て。」

「うん…!」
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