生贄の花嫁      〜Lost girl〜
今日は大広間で皆でテスト勉強中。なのだが…

「だから~、ここはさっき教えたでしょ。」
「分かんねえもんは分かんねえんだよ。」

「奏、問2の答えってどうなった?」
「127だよ。」
「俺、215なんだけど…。」

「まったく…休日まで付き合わされるとは…せっかく文献を読もうと思っていたのに…。」
「悠夜は成績優秀だから頼りたくなるのよ。そんなに暇ならアタシの課題手伝ってよ。」
「私は暇じゃありません。それに自分の課題は自分でやりなさい。」


勉強とは思えないほど騒がしい。

「あら、花月チャンは勉強しないの?」

「毎日寝る前に2時間は勉強しているので特に問題はありません。それに、今回のテスト範囲はもう家庭教師に習っています。」

「前から聞こうと思ってたんだけどさ、花月の家って白梨家だよね。あの有名な大財閥の。」
「はい。父親は石油探鉱でたくさんの石油を掘り当て他にも鉱石などの発掘もしています。母親は化粧品ブランドを立ち上げていて現在外国と国内併せて全38社と契約しているそうです。まあ、元から白梨家は貴族の家系だったみたいですから両親の功績が関係あるのかは知りませんが…。」


「俺ら、とんでもないとこからさらっちまったな…。」

「最初は怖かったですけど…今では少しここでの生活も楽しめています。」

「分かりませんよ。それはまだ劉磨以外に吸われてないからでは?きっと私たちにも吸われたら貴女は逃げるでしょうね。」

「そんなことより、誰か俺を助けてくれよ…なあ、花月。天才なんだから俺を助けて。」

珍しく劉磨さんが子犬のような健気な目で私を見つめる。さすがにあんな目で見られたら見捨てられない…

「仕方がないですね…今回だけですよ。どの問題ですか?」
「日本史と英語…歴史と長文ができねえ。」

「あの、つかぬことを聞きますけど、法隆寺を立てた人は誰だかわかりますか?」
「信長?」

「聖徳太子です。そもそも、法隆寺を建てたのは病に伏せる父親のためだという説もあります。まったく…こんなことも知らないとは先が思いやられますね。」

まあ、このくらいの知識もないのは確かに少々くたびれそうだ…

「さすがにこれは知ってますよね。鳴くよウグイス…」
「夜が明けるまで。」
「あの…やる気ありますか…?」


「やばい…花月が少し怒ってる…。」
「花月~、僕にも教えて~。」

「桃瀬さんは1人でも勉強できるでしょう?劉磨さんの方が心配です。もう、今までどうして来たんですか。」

「赤点ギリギリでやってきた。レポートは奏に書いてもらってたし。」

「今からじゃ高得点なんて取れないんで、無難に60点くらいの目標でいいですか?」
「そんなにとれるのか!?」

「まあ、ちゃんと勉強すればですけど…。」
「じゃあやる。早く教えろ。」
「いったい何様なんですか。」
「俺様~。」

「もう、ふざけないでください!」
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