生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「花月、おかえり。」

「うん……ただいま。楓ちゃん、メリークリスマス。」



「え、これ、私に……?」
「うん……。そんな大したものじゃないんだけど……。」

「……リボンの髪留めだ……。私、大切にするね。ありがとう、花月!私も花月にこれプレゼント!」



そう言って楓ちゃんが渡してくれた小箱にはオルゴールが入っていた。



「……花月が好きそうだから、それにしたの。嫌だった…?」
「そんなことないよ。素敵なプレゼントをありがとう。」


「あらあらぁ!賑やかだと思ったら、花月チャン帰ってきたのね。おかえりなさい。」

「た…ただいま…です。」

「おかえり、花月。それとも……ただいま…かな?」
「柚さん……。」




お店でのアルバイトのことも会っていたことも言わないでいてくれているみたい。良かった……。



「ほら、これ私からのプレゼント。キスでも落ちない口紅だってさ。」



柚さんの顔を見ると満面の笑みで『ちゃんと試してね』と言わんばかりの顔をしていた。




「あ、ありがとうございます……。私もこれ、柚さんに……。」

「えー、ありがとうー。帰ってくるって言ってなかったのに花月はすごいなー。予知能力-?」



あれ…?柚さんなんか怒ってる…?笑顔がどこか怖い……。


「ねえ、聖、ちょーっと花月を借りるね。」


「…え、あ、ああ……?」

「ゆ、柚さん、どうし……」
「ほら、いいから黙って来る。」
「は、はい……。」
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