生贄の花嫁 〜Lost girl〜
――翌朝――
「ん…?あれ、もう朝?」
なんとなく重たい体を起こす。時計を見るとまだ5時前だった。
「変な時間に起きちゃった…。」
もう一度寝るのも気が引けるので、とりあえず大広間に出ることにした。
それにしてももう7月だというのに朝は冷える。これも人間界と吸血鬼界の違いだろうか…。
「おはようございます…って、誰もいないか…。」
ガタン
「だ、誰!?」
キッチンのほうから聞こえた怪しい音。少し怖いけど、一応確認する。
「誰かいますか…?」
「あら、花月チャン、おはよう。」
「泰揮クン!?何でこんな朝早くから?」
「アタシは料理当番だから毎日この時間に起きて仕込み作業をするのよ。」
「あの…何か手伝いましょうか…?」
「ありがとう。でも、大丈夫よ。これはアタシの役目だから花月チャンはそっちで座って待ってて。」
「でも、1人じゃ大変じゃないですか?」
「大丈夫よ……でも、そんなに言ってくれるなら、花月チャンにしかできないことしてもらおうかしら。」
「私にしかできないこと…?」
「花月チャンの血が飲んでみたいわ。アタシ、お腹すいちゃった。」
「え…?」
泰揮クンが言ったことが一瞬理解できなかった。そうだ…皆は吸血鬼で…私は人間で……
「はい、壁ドン。すっごくいい香りしているわよ。」
「ちょ……泰揮クン…。」
「劉磨クンにはあげたんでしょ?アタシにもちょうだい。劉磨クンの吸い方はどうだった?ドキドキした?」
「ドキドキなんて…きゃ、やめてください。」
首筋を泰揮クンが行ったり来たりしてくすぐったい。首にかかる吐息が熱い。
「ハア…気が狂いそうだわ…この首筋に流れる花月チャンの血…私に吸ってって言っているみたいに鼓動が聞こえてくる。」
泰揮クンの動きに…言葉に体が熱くなっていく。
「ここにするね…痛くないようにするから。」
少しずつ泰揮クンの牙が入っていく。劉磨さんの時は気づかなかったけど、血を吸われるたびに身体中が痺れて気持ちいい。
「花月チャン…すごく甘くておいしい…もっと。」
さらに泰揮クンの牙が奥に刺さる。鈍い痛みとそこからくる快感。まるで宙に浮いているかのように体が軽くなっていく。
「気持ちいい…?アタシがこれからもこの快感をあげるわね…花月…。」
足の力が抜け床に崩れ落ちる。
「吸いすぎちゃってゴメンナサイ。でも、こんなに甘くておいしいんだからきっと…皆、花月チャンのこと好きになっちゃうわよ…。」
意識が朦朧とする中、火照った体が床の冷気で冷えていく感覚だけはしっかりと焼き付いていた。
「ん…?あれ、もう朝?」
なんとなく重たい体を起こす。時計を見るとまだ5時前だった。
「変な時間に起きちゃった…。」
もう一度寝るのも気が引けるので、とりあえず大広間に出ることにした。
それにしてももう7月だというのに朝は冷える。これも人間界と吸血鬼界の違いだろうか…。
「おはようございます…って、誰もいないか…。」
ガタン
「だ、誰!?」
キッチンのほうから聞こえた怪しい音。少し怖いけど、一応確認する。
「誰かいますか…?」
「あら、花月チャン、おはよう。」
「泰揮クン!?何でこんな朝早くから?」
「アタシは料理当番だから毎日この時間に起きて仕込み作業をするのよ。」
「あの…何か手伝いましょうか…?」
「ありがとう。でも、大丈夫よ。これはアタシの役目だから花月チャンはそっちで座って待ってて。」
「でも、1人じゃ大変じゃないですか?」
「大丈夫よ……でも、そんなに言ってくれるなら、花月チャンにしかできないことしてもらおうかしら。」
「私にしかできないこと…?」
「花月チャンの血が飲んでみたいわ。アタシ、お腹すいちゃった。」
「え…?」
泰揮クンが言ったことが一瞬理解できなかった。そうだ…皆は吸血鬼で…私は人間で……
「はい、壁ドン。すっごくいい香りしているわよ。」
「ちょ……泰揮クン…。」
「劉磨クンにはあげたんでしょ?アタシにもちょうだい。劉磨クンの吸い方はどうだった?ドキドキした?」
「ドキドキなんて…きゃ、やめてください。」
首筋を泰揮クンが行ったり来たりしてくすぐったい。首にかかる吐息が熱い。
「ハア…気が狂いそうだわ…この首筋に流れる花月チャンの血…私に吸ってって言っているみたいに鼓動が聞こえてくる。」
泰揮クンの動きに…言葉に体が熱くなっていく。
「ここにするね…痛くないようにするから。」
少しずつ泰揮クンの牙が入っていく。劉磨さんの時は気づかなかったけど、血を吸われるたびに身体中が痺れて気持ちいい。
「花月チャン…すごく甘くておいしい…もっと。」
さらに泰揮クンの牙が奥に刺さる。鈍い痛みとそこからくる快感。まるで宙に浮いているかのように体が軽くなっていく。
「気持ちいい…?アタシがこれからもこの快感をあげるわね…花月…。」
足の力が抜け床に崩れ落ちる。
「吸いすぎちゃってゴメンナサイ。でも、こんなに甘くておいしいんだからきっと…皆、花月チャンのこと好きになっちゃうわよ…。」
意識が朦朧とする中、火照った体が床の冷気で冷えていく感覚だけはしっかりと焼き付いていた。