生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―楓side—
「ねえねえ、楓ちゃんって呼んでいい?」

「……別にいいけど。」

「僕ね、12歳なの。楓ちゃんは中等部なんだよね?中等部ってどんな感じなの?」

「……別に普通だけど。」


なんだか琥珀琉生くんにずっと話しかけられている気がする。私がペット制度でいじめをしていたのは中等部以上だからきっと私のこと…知らないんだろうな。


「……そんなに中等部のことが知りたいなら私より劉磨くんたちに聞いた方がいいよ。」

「あ、もしかして聞いちゃいけないことだった……ごめんね、僕……。」


喜んだり落ち込んだり忙しい子。本当に穢れのない綺麗な子なんだね。






「ねえ悠夜、あの2人どう思う?アタシ的にはお似合いだと思うけど。」

「貴方の目は節穴ですね。一方通行にしか見えませんよ。」
「なんの話をしているんですか?」


「花月チャンは知らなくていいの!聖クンとイチャイチャしてきなさい。」



ほんと、一方通行だと私も思うよ。琉生くんは私のことをたぶん気に入ってくれていると思う。でも私は……劉磨くんのことしか見てない。でも……劉磨くんはきっと私のことなんか見えてないよね。
花月と聖みたいに私はなれないのかな…?
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