生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「さあ、ご飯も食べたことだし、遊びましょう!凧揚げに羽根つき、カルタいろいろと揃えたわよ。」


泰揮クンが並べていくものはどれも初めて見るものばかり。向こうで暮らしてた時なんかお正月なんて関係なくいつもと同じ毎日が過ぎていくだけだったからな……。


「花月チャンはどれにする?」

「どれ……」


どれでもいい…なんて言ったら傷つけちゃうよね。どうしよう……。



「僕カルタやってみたいー!これ初めて見るもん。」



私の不安を察してか琉生くんが話を進めてくれる。自分が何をやりたいか決められないなんて……




「…花月、難しく考えるな。娯楽なんだからどれを選ぶのが正解とかない。」
「聖さん……。」


「この人数だとカルタ大会だね。じゃあ僕が読み手かな。」

「いや、今日は俺が読み手やる。お前はいつもそうやって参加しないで高みの見物するからな。お前も負け犬を思い知れ!」

「劉磨が読むの?っていうか読めるわけ?」
「馬鹿にすんな、カルタだろ。それくらい読めるに……」

「だってカルタって言っても百人一首だよ。僕たちが普段使ってる言葉と全然違うし読み方も違うし。」
「うぐ……。」


「ねえねえ百人一首ってな~に?」

「百人一首はその言葉の通り百人の歌人の和歌を一人につき一首ずつ選んで作ったカルタです。まあ、昔の言葉遣いが主ですから劉磨には読めないでしょうね。」


「悠夜、てめえ……。じゃあ悠夜が読め。奏と俺は取る方だ。ぜってえ負けねえ。」



「百人一首とはまた古風ですね。」

「李仁は中華圏出身だよな?やっぱし漢字は強いわけ?」

「まあ、輝石よりは強いでしょうね、国語は得意ですので。」

「わー、珍しい。李仁くんが輝石くんにマウント取ってるー!」



「なんでカルタ1つで喧嘩が即発してんのよ。」

「楓ちゃん、仕方ないって、輝石と劉磨って似たようなものだから。」



まあ確かに劉磨さんと奏、輝石くんと李仁くんって喧嘩になる口調も似ている気がする。



「もう、お正月から喧嘩しないの!ここは仲良く遊べるようにチーム戦にしましょう!劉磨クンと奏クン、輝石クンと李仁クン、花月チャンと聖クン、琉生クンと楓ちゃん、柚ちゃんとアタシってところかしら。読み手は悠夜でいいわね。」

「いいわけねえだろ!何で俺がクソ奏と……。」
「そうだよ、何で僕が劉磨と……。」


「それ以上口開いたら2人の恥ずかしい過去花月チャンの前で話すわよ。」



「くっ……仕方ねえ、ほらやるぞ。」

「今日だけは協力してあげるよ、劉磨のために仕方なく。」



文句を言いながらも取り札を並べている劉磨さんたち。私たちも並べるのを手伝う。



「では、各々準備はよろしいですか?」


「はーい!!」
< 284 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop