生贄の花嫁 〜Lost girl〜
第41話 きょうだいと許嫁
聖さんや皆に誕生日をお祝いしてもらい、昨日は幸せなお正月を楽しむことができた。そして今日、聖さんとの約束を果たすためここにいる。
「…開けるけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫…少し緊張しているだけ。」
聖さんがドアを開けると、それと同時に勢いよく飛び出してくる何か。
「おかえり、兄ちゃん!」
「兄ちゃん、おかえり!」
「…ただいま、安海(あずみ)、泉(いずみ)。」
そう、今日は聖さんのご家族に会うために家をお邪魔している。飛び出してきたのはおそらく聖さんの弟さん…かな…?
「誰、このお姉さん。」
「あ!分かった。お嫁さんだー!」
「あらあら2人ともそんなに大きな声を出してどうしたの~?」
廊下の奥の方から出てきたおおらかそうな女性。この人が聖さんのお母様…?
「…ただいま、母さん。」
「おかえりなさい、聖くん。少し見ない間にまた大きくなったのね。そちらが話に合った彼女さんかしら?」
「は、初めまして、白梨花月と申します。」
「大したお構いはできませんが、ゆっくり過ごしてちょうだいね。」
「あ、ありがとうございます。」
―――――――――――――――――
リビングへと案内されると既に椅子に座ってお父様が待っていた。
「…父さん、この人が俺の花嫁になる大切な人だ。いずれは国王を継承して2人で政治や経済でも何か活動できれば、と思う。」
「やっと継承者について興味を持ってくれたというわけか。君、名前は?」
「白梨花月です。」
「僕や母さんは聖が選んで決めたことなら聖に任せているし、2人の付き合いもこれからのことでも反対することはない。ただ、1つだけ教えてもらいたいんだ。君は聖のどういうところを好きになってくれたんだね…?」
嫁姑問題は大変だと、奏が言っていたけれど聖さんのご両親はとてもおおらかで少し拍子抜けをしている中でのとても大切な……何かを試されるようなお父様からの質問。
「私はもともと人間で…こちらの世界に来ました。その時は何もかも嫌で…生きていることが辛かったんです。でも…聖さんはいつも心配してくださって…元気づけてくださって、幸せをたくさんくださいました。話をしていてもとても楽しくて…気が付いたら好きになって…いました。優しくて温かいところに惹かれたのかもしれません。」
「君は聖の中身をきちんと見て好きになってくれたのか……それを聞いて安心したよ。僕はあまり父親らしいことはしてあげられないかもしれないが、2人の幸せを祈っているよ。」
「あ、姉ちゃん帰ってきたよ。」
玄関の方へと目をやると、髪の毛の長い女の子が立っていた。私より背が高いけど、この人も聖さんのきょうだい…?
「…海未(うみ)、ただいま。」
「おかえりお兄ちゃん。その人…誰…?」
「…俺と将来結婚する人だよ。」
聖さんの言葉と共に海未さんが持っていた荷物を落とした。
「お兄ちゃんは…楓と結婚するんじゃなかったの…?」
「…俺は楓とは何もないよ。彼女の名前は白梨花月…さん。元人間の女性だよ。」
「信じられない!」
扉を叩くようにして部屋を出ていく海未さん。もしかして…いや、もしかしなくても……私のこと…嫌なんだろうな。
「花月ちゃん、気にしないでちょうだいね。海未ちゃん、聖くんのこと大好きだったから少しびっくりしちゃっただけだと思うから。」
「海未姉ちゃん、昔から大きくなったら聖兄ちゃんと結婚したいって言ってたもんな。」
「家族だから結婚できないのにね。」
「…花月、海未のことは気にするな。後で俺から話すから。」
私は…きょうだいとかはいなかったから、海未ちゃんの聖さんへの思いの強さは分からないけれど……大好きだった人が知らない人にいきなり取られたら……私でも悲しいと思う…。
「海未はいつになっても聖離れができないのか、中学生になっても兄離れができないとは情けない……。」
「その言い方は……あまり良くないと…思います。」
「え…?」
「初対面でこんな失礼なことを言ってしまいすみません。でも……海未さん、本当に聖さんのことが好きなんだと思います。大好きなものが…大好きな人がある日いきなり横から取られてしまったら…きっと寂しくて悲しいです。」
「…花月。」
「聖さん…お願いがあるの。海未さんと話をさせてほしい。だから……このバングルを緩めてください。」
「…開けるけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫…少し緊張しているだけ。」
聖さんがドアを開けると、それと同時に勢いよく飛び出してくる何か。
「おかえり、兄ちゃん!」
「兄ちゃん、おかえり!」
「…ただいま、安海(あずみ)、泉(いずみ)。」
そう、今日は聖さんのご家族に会うために家をお邪魔している。飛び出してきたのはおそらく聖さんの弟さん…かな…?
「誰、このお姉さん。」
「あ!分かった。お嫁さんだー!」
「あらあら2人ともそんなに大きな声を出してどうしたの~?」
廊下の奥の方から出てきたおおらかそうな女性。この人が聖さんのお母様…?
「…ただいま、母さん。」
「おかえりなさい、聖くん。少し見ない間にまた大きくなったのね。そちらが話に合った彼女さんかしら?」
「は、初めまして、白梨花月と申します。」
「大したお構いはできませんが、ゆっくり過ごしてちょうだいね。」
「あ、ありがとうございます。」
―――――――――――――――――
リビングへと案内されると既に椅子に座ってお父様が待っていた。
「…父さん、この人が俺の花嫁になる大切な人だ。いずれは国王を継承して2人で政治や経済でも何か活動できれば、と思う。」
「やっと継承者について興味を持ってくれたというわけか。君、名前は?」
「白梨花月です。」
「僕や母さんは聖が選んで決めたことなら聖に任せているし、2人の付き合いもこれからのことでも反対することはない。ただ、1つだけ教えてもらいたいんだ。君は聖のどういうところを好きになってくれたんだね…?」
嫁姑問題は大変だと、奏が言っていたけれど聖さんのご両親はとてもおおらかで少し拍子抜けをしている中でのとても大切な……何かを試されるようなお父様からの質問。
「私はもともと人間で…こちらの世界に来ました。その時は何もかも嫌で…生きていることが辛かったんです。でも…聖さんはいつも心配してくださって…元気づけてくださって、幸せをたくさんくださいました。話をしていてもとても楽しくて…気が付いたら好きになって…いました。優しくて温かいところに惹かれたのかもしれません。」
「君は聖の中身をきちんと見て好きになってくれたのか……それを聞いて安心したよ。僕はあまり父親らしいことはしてあげられないかもしれないが、2人の幸せを祈っているよ。」
「あ、姉ちゃん帰ってきたよ。」
玄関の方へと目をやると、髪の毛の長い女の子が立っていた。私より背が高いけど、この人も聖さんのきょうだい…?
「…海未(うみ)、ただいま。」
「おかえりお兄ちゃん。その人…誰…?」
「…俺と将来結婚する人だよ。」
聖さんの言葉と共に海未さんが持っていた荷物を落とした。
「お兄ちゃんは…楓と結婚するんじゃなかったの…?」
「…俺は楓とは何もないよ。彼女の名前は白梨花月…さん。元人間の女性だよ。」
「信じられない!」
扉を叩くようにして部屋を出ていく海未さん。もしかして…いや、もしかしなくても……私のこと…嫌なんだろうな。
「花月ちゃん、気にしないでちょうだいね。海未ちゃん、聖くんのこと大好きだったから少しびっくりしちゃっただけだと思うから。」
「海未姉ちゃん、昔から大きくなったら聖兄ちゃんと結婚したいって言ってたもんな。」
「家族だから結婚できないのにね。」
「…花月、海未のことは気にするな。後で俺から話すから。」
私は…きょうだいとかはいなかったから、海未ちゃんの聖さんへの思いの強さは分からないけれど……大好きだった人が知らない人にいきなり取られたら……私でも悲しいと思う…。
「海未はいつになっても聖離れができないのか、中学生になっても兄離れができないとは情けない……。」
「その言い方は……あまり良くないと…思います。」
「え…?」
「初対面でこんな失礼なことを言ってしまいすみません。でも……海未さん、本当に聖さんのことが好きなんだと思います。大好きなものが…大好きな人がある日いきなり横から取られてしまったら…きっと寂しくて悲しいです。」
「…花月。」
「聖さん…お願いがあるの。海未さんと話をさせてほしい。だから……このバングルを緩めてください。」