生贄の花嫁 〜Lost girl〜
―聖side―
俺にとって海未は大切な妹。俺が物心つくときにはもう一緒にいてよく遊んでいた。遊びに行くときも、どこかへ出かけるときもいつも、いつも――――――
「あら、聖くん、お帰りなさい。」
「…母さん、海未は?」
「海未ちゃんはまだ部屋に閉じこもっているわ。さっきおやつを持って行ったときも出てきてくれなかったの。」
俺にとってたった1人の大切な妹。お前はいつもいつも俺のことを好きだと言ってくれていた。大きくなったら結婚したいと言っていた。あれは全部、お前の本当の願いだったのか…?お前の……本心だったのか…?
「…海未、話があるんだ。ドアを開けてくれ。」
「お兄ちゃん…?なんで帰ってきたの…?」
「…ちゃんとお前に話さなきゃいけないことがあるからだ。出てこないならこのままここで話す。」
「別にいいよ、話せば?」
「…俺は今まで、何にも気づかずお前の気持ちを無下にしてたんだな。たくさん傷つけてたんだな。俺が曖昧な態度だったから、ずっと希望を持たせてしまって悪かったと思ってる。」
きっと言ったら傷つける。もう仲良くきょうだいでいられないかもしれない。だけど、それでも、言わなくちゃいけないんだ。
「…俺は、お前の気持ちには応えられない。付き合うこともできないし結婚もできない。」
「それは…きょうだいだから…?だったら私が籍を抜けば…」
「違う。俺は…俺は、花月を愛しているからだ!俺はこれからの人生ずっと花月と過ごしたいと思っている。だからお前が……いや、お前を…恋愛対象として見ることはないんだ、絶対に。」
「お兄ちゃんが国王継承者候補になったとき、きっと将来横に立っているのは私なんだってずっと夢を見ていた。誰にも渡さない、私だけのお兄ちゃんなんだって……。なんであの人なの…?私の方がお兄ちゃんのこと何倍も、何百倍も大好きなのに……。」
「…お前の気持ちに応えてやれないのは悪いと思っている。だけど……俺にとって花月が全てなんだ。ごめんな、海未。」
「……。」
突き放すことはとても辛い。俺は思ってることを全部言ったけど……これが本当に正しかったのか…?海未を傷つけることが……
「そっか…分かったよ。さよならだね、お兄ちゃん。」
「…ああ、じゃあな、海未。」
「待ってください!」
海未に別れの言葉を言ったとき花月の声が階段の下から聞こえた。
なんで花月がここに…?それも息を切らして。
「…花月、どうしてここに…。」
「そんなことより早く海未さんの部屋を開けてください。海未さん、自殺する気です。」
「…なん…だって…?」
「海未さん、お願いです、開けて下さい。自殺なんてやめて!」
「…おい、海未、鍵を開けるんだ!ちゃんと話をしよう。」
「海未さん、まだ話せてないことがたくさんあります。お互いに知らないこともあります。私のことを受け入れてくれないくていい、大嫌いでもいい。それでも…命を投げるようなことだけはしないでください。そんなことしてしまったら聖さんも、ご家族も、お友達も私も、皆が悲しいです。まだこれから起こる未来まで捨てないでください。」
ガチャ
ドアが開くと手にカッターナイフを持ち泣いている海未が出てきた。
「普通は私みたいな邪魔者消えてしまえばいいって思うでしょ…?なのになんであんたはそう思わないの…?私が『死んでやる』って念じたとき、あんたから伝わってきたのは私を心配する感情だけだった。」
「だって、大切な人ですから。聖さんの大切な妹さんで、きっとこれから知り合っていけると思ったので。それに、海未さんは私のことを嫌っていても私のことを傷つけようとか、そういう感情はなかったでしょう。だからきっと、海未さんはとても優しくて不器用なだけなんだって思ったんですよ。」
「私がもし本当に死んでいたら、あんたは悲しんでくれてた?」
「はい、とても……。でも私は、そんな未来ないと願っていましたよ。きっと海未さんは聖さんを傷つけるようなことは絶対にしないと信じていましたから。」
「フワフワしてるお兄ちゃんに掴みどころがないあんた。お似合いなんじゃない?結婚でもなんでもとっととしてよ。」
「ありがとう…海未さん。」
「別に感謝されるようなことじゃないわよ。でもさ、たまには私にもお兄ちゃんを返してよね。だって、私のお兄ちゃんは世界一のお兄ちゃんなんだから。」
「はい…。」
俺にとって海未は大切な妹。俺が物心つくときにはもう一緒にいてよく遊んでいた。遊びに行くときも、どこかへ出かけるときもいつも、いつも――――――
「あら、聖くん、お帰りなさい。」
「…母さん、海未は?」
「海未ちゃんはまだ部屋に閉じこもっているわ。さっきおやつを持って行ったときも出てきてくれなかったの。」
俺にとってたった1人の大切な妹。お前はいつもいつも俺のことを好きだと言ってくれていた。大きくなったら結婚したいと言っていた。あれは全部、お前の本当の願いだったのか…?お前の……本心だったのか…?
「…海未、話があるんだ。ドアを開けてくれ。」
「お兄ちゃん…?なんで帰ってきたの…?」
「…ちゃんとお前に話さなきゃいけないことがあるからだ。出てこないならこのままここで話す。」
「別にいいよ、話せば?」
「…俺は今まで、何にも気づかずお前の気持ちを無下にしてたんだな。たくさん傷つけてたんだな。俺が曖昧な態度だったから、ずっと希望を持たせてしまって悪かったと思ってる。」
きっと言ったら傷つける。もう仲良くきょうだいでいられないかもしれない。だけど、それでも、言わなくちゃいけないんだ。
「…俺は、お前の気持ちには応えられない。付き合うこともできないし結婚もできない。」
「それは…きょうだいだから…?だったら私が籍を抜けば…」
「違う。俺は…俺は、花月を愛しているからだ!俺はこれからの人生ずっと花月と過ごしたいと思っている。だからお前が……いや、お前を…恋愛対象として見ることはないんだ、絶対に。」
「お兄ちゃんが国王継承者候補になったとき、きっと将来横に立っているのは私なんだってずっと夢を見ていた。誰にも渡さない、私だけのお兄ちゃんなんだって……。なんであの人なの…?私の方がお兄ちゃんのこと何倍も、何百倍も大好きなのに……。」
「…お前の気持ちに応えてやれないのは悪いと思っている。だけど……俺にとって花月が全てなんだ。ごめんな、海未。」
「……。」
突き放すことはとても辛い。俺は思ってることを全部言ったけど……これが本当に正しかったのか…?海未を傷つけることが……
「そっか…分かったよ。さよならだね、お兄ちゃん。」
「…ああ、じゃあな、海未。」
「待ってください!」
海未に別れの言葉を言ったとき花月の声が階段の下から聞こえた。
なんで花月がここに…?それも息を切らして。
「…花月、どうしてここに…。」
「そんなことより早く海未さんの部屋を開けてください。海未さん、自殺する気です。」
「…なん…だって…?」
「海未さん、お願いです、開けて下さい。自殺なんてやめて!」
「…おい、海未、鍵を開けるんだ!ちゃんと話をしよう。」
「海未さん、まだ話せてないことがたくさんあります。お互いに知らないこともあります。私のことを受け入れてくれないくていい、大嫌いでもいい。それでも…命を投げるようなことだけはしないでください。そんなことしてしまったら聖さんも、ご家族も、お友達も私も、皆が悲しいです。まだこれから起こる未来まで捨てないでください。」
ガチャ
ドアが開くと手にカッターナイフを持ち泣いている海未が出てきた。
「普通は私みたいな邪魔者消えてしまえばいいって思うでしょ…?なのになんであんたはそう思わないの…?私が『死んでやる』って念じたとき、あんたから伝わってきたのは私を心配する感情だけだった。」
「だって、大切な人ですから。聖さんの大切な妹さんで、きっとこれから知り合っていけると思ったので。それに、海未さんは私のことを嫌っていても私のことを傷つけようとか、そういう感情はなかったでしょう。だからきっと、海未さんはとても優しくて不器用なだけなんだって思ったんですよ。」
「私がもし本当に死んでいたら、あんたは悲しんでくれてた?」
「はい、とても……。でも私は、そんな未来ないと願っていましたよ。きっと海未さんは聖さんを傷つけるようなことは絶対にしないと信じていましたから。」
「フワフワしてるお兄ちゃんに掴みどころがないあんた。お似合いなんじゃない?結婚でもなんでもとっととしてよ。」
「ありがとう…海未さん。」
「別に感謝されるようなことじゃないわよ。でもさ、たまには私にもお兄ちゃんを返してよね。だって、私のお兄ちゃんは世界一のお兄ちゃんなんだから。」
「はい…。」