生贄の花嫁 〜Lost girl〜
★第8話 謎の転校生
ん…まぶしい…朝?手がすごく温かい。
自分の右手に目をやると、奏が私の手を握って眠っていた。
1晩中握ってくれたんだ。
「ん…?花月さん、目が覚めましたか。」
「悠夜さん、おはようございます…。」
「首はまだ痛みますか…?」
「おかげさまでだいぶ痛みが引きました。」
「よかったです…。お水を飲まれますか?なにか必要なら…」
「あの…無理して優しくしないでください…。」
「え…?」
「悠夜さん、私のことお嫌いでしょう?私に対していつも冷たいですし…。」
「誤解をさせてしまっていたのであればすみませんでした。柚のことがあってから女性と関わらないようにしていたので感覚が分からないのです。親しくなればなるほど失うことは恐ろしい。」
「やっぱり、お辛かったんですね…。」
「……ですが、もう過去に留まることはやめることにします。同じ過ちを繰り返さないようにしていくためには私が先導しなければいけない。その為にはいつまでも人を避けて生きてはいけません。だから…その…ですね…貴女とも少しずつでも…その…。」
「え…今、何て?」
「ですから、貴女と親しくするのも悪くないかなと…。」
「本当…ですか?」
「まあ、貴女は悪い女性ではなさそうなので。ですが1つだけ約束してください。私たちの前からいなくならないと。」
「私…あの日にすべてを失って自分が生きている意味が分からなかったんです。なぜ私だけ生き残ってしまったのだろう、なぜ私は生きていかなければいけないのだろう、と。不安も悲しみもよく分からなくなって時が止まっていました。……でもこの屋敷にきて…皆さんと話していくうちに少しずつ楽しいと思えるようになりました。私も変わっていかなければいけないのだと。絶対など…軽い気持ちでは言えません。ですが、ずっと…皆さんと…もちろん悠夜さんとも…一緒にいたいです。」
「貴女は貴女らしくいてください。しっかりとした貴女も魅力的ですが甘える貴女も悪くありません。」
「そんなに私のこと見ていてくださったんですか…?」
「いえ、例えばの話です。弱いところを見せてこその家族ですので。」
いつも冷静な悠夜さんが照れて顔を背けるだなんて何というか……
「可愛いです……。」
「やめなさい。私に可愛いなど…屈辱的です。」
「そうですか…?いつもと違う面が見られて楽しいですよ。」
「それは…無意識にやっているのですか?」
「え……?」
「意図的にやっているのであれば相手になどしませんが、無意識にやっているのであればその口、塞ぎますよ。」
「えと…そう言われましても……何が無意識なの——」
話していた途中で悠夜さんに顎を引かれ唇にぬくもりが伝わる。
私……キスされているの……?
「まだ…言いますか…?」
「もう…言いません…。」
「いい子です。」
一瞬とはいえ悠夜さんと私がキス……。挨拶じゃないキス。不思議な感覚が私の中に残る。
「なーに、2人でイチャイチャしてるの?」
「わ!奏、起きてたの?」
「悠夜もやっぱり花月のこと好きだったんだ。」
「黙りなさい。」
「ねえ、みんなー、今の聞いてた?」
「え……。」
「もう、バッチリよ!カメラも回せばよかったかしら。」
「泰揮!」
「熱も下がったみたいだな。」
「でもまだ学校は休め。心配だ。」
「はい…お留守番しています。」
「そんな寂しそうな顔しないの。悠夜とアタシも今日は屋敷にいるんだから。」
「僕も休んで花月といたい。」
「貴方たちは学校に行ってください。家にいても彼女が疲れるだけです。」
「ちょっと、手を出した悠夜には言われたくないんだけど!」
「ほら、奏も聖も行くぞ。」
「奏、しつこい男は嫌われる…。」
「む~…。花月に僕の携帯番号教えておく。2人に何かされたらすぐ電話してね。」
自分の右手に目をやると、奏が私の手を握って眠っていた。
1晩中握ってくれたんだ。
「ん…?花月さん、目が覚めましたか。」
「悠夜さん、おはようございます…。」
「首はまだ痛みますか…?」
「おかげさまでだいぶ痛みが引きました。」
「よかったです…。お水を飲まれますか?なにか必要なら…」
「あの…無理して優しくしないでください…。」
「え…?」
「悠夜さん、私のことお嫌いでしょう?私に対していつも冷たいですし…。」
「誤解をさせてしまっていたのであればすみませんでした。柚のことがあってから女性と関わらないようにしていたので感覚が分からないのです。親しくなればなるほど失うことは恐ろしい。」
「やっぱり、お辛かったんですね…。」
「……ですが、もう過去に留まることはやめることにします。同じ過ちを繰り返さないようにしていくためには私が先導しなければいけない。その為にはいつまでも人を避けて生きてはいけません。だから…その…ですね…貴女とも少しずつでも…その…。」
「え…今、何て?」
「ですから、貴女と親しくするのも悪くないかなと…。」
「本当…ですか?」
「まあ、貴女は悪い女性ではなさそうなので。ですが1つだけ約束してください。私たちの前からいなくならないと。」
「私…あの日にすべてを失って自分が生きている意味が分からなかったんです。なぜ私だけ生き残ってしまったのだろう、なぜ私は生きていかなければいけないのだろう、と。不安も悲しみもよく分からなくなって時が止まっていました。……でもこの屋敷にきて…皆さんと話していくうちに少しずつ楽しいと思えるようになりました。私も変わっていかなければいけないのだと。絶対など…軽い気持ちでは言えません。ですが、ずっと…皆さんと…もちろん悠夜さんとも…一緒にいたいです。」
「貴女は貴女らしくいてください。しっかりとした貴女も魅力的ですが甘える貴女も悪くありません。」
「そんなに私のこと見ていてくださったんですか…?」
「いえ、例えばの話です。弱いところを見せてこその家族ですので。」
いつも冷静な悠夜さんが照れて顔を背けるだなんて何というか……
「可愛いです……。」
「やめなさい。私に可愛いなど…屈辱的です。」
「そうですか…?いつもと違う面が見られて楽しいですよ。」
「それは…無意識にやっているのですか?」
「え……?」
「意図的にやっているのであれば相手になどしませんが、無意識にやっているのであればその口、塞ぎますよ。」
「えと…そう言われましても……何が無意識なの——」
話していた途中で悠夜さんに顎を引かれ唇にぬくもりが伝わる。
私……キスされているの……?
「まだ…言いますか…?」
「もう…言いません…。」
「いい子です。」
一瞬とはいえ悠夜さんと私がキス……。挨拶じゃないキス。不思議な感覚が私の中に残る。
「なーに、2人でイチャイチャしてるの?」
「わ!奏、起きてたの?」
「悠夜もやっぱり花月のこと好きだったんだ。」
「黙りなさい。」
「ねえ、みんなー、今の聞いてた?」
「え……。」
「もう、バッチリよ!カメラも回せばよかったかしら。」
「泰揮!」
「熱も下がったみたいだな。」
「でもまだ学校は休め。心配だ。」
「はい…お留守番しています。」
「そんな寂しそうな顔しないの。悠夜とアタシも今日は屋敷にいるんだから。」
「僕も休んで花月といたい。」
「貴方たちは学校に行ってください。家にいても彼女が疲れるだけです。」
「ちょっと、手を出した悠夜には言われたくないんだけど!」
「ほら、奏も聖も行くぞ。」
「奏、しつこい男は嫌われる…。」
「む~…。花月に僕の携帯番号教えておく。2人に何かされたらすぐ電話してね。」