生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「白銀くん、離してください。」
「今、輝石が手を離したら間違いなく時空の狭間に迷いますよ。」

時空の狭間…?私はいまどこにいるの…?


「この空間のことだよ。僕たちが使う瞬間移動は完全な物じゃないから、僕たちから離れると一生この空間から抜けられなくなっちゃうんだよ。」

「私を…どこへ連れて行く気ですか」
「もうすぐ着く。口を閉じてろ…舌噛むぞ。」

突然、目の前に光の空間が現れる。体が浮くと同時にその光に吸い込まれていった。
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目を覚ますと壁に鎖が繋がれている部屋にいた。鎖の先には首輪のようなものが繋がれている。窓がなく光もない閉ざされた空間。

「今日からここが花月の家だ。逃げないように首輪をつけないとな。」

白銀さんが首輪を持ち私の首に近づける。

「やめて…いやっ。」
「くそ、暴れるな。」

カチャン

首輪がつけられた瞬間だった。途端に全身を恐怖が支配する。白銀くんは私を突き飛ばすと部屋から出て行ってしまった。


「琉生、私たちも行きますよ。」

「ちょっと…花月ちゃんに用があるから先に行ってて。」
「わかりました。」

橙さんが部屋からいなくなったことを確認すると琥珀くんは私の前にしゃがみ込み抱きしめてくれた。


「花月ちゃん、怖がらないで。僕たちは…僕は…花月ちゃんを絶対に危ない目に合わせないから安心して。ただ、ご主人様に連れてくるよう頼まれただけだから。」
「琥珀くん…。」

「もし、輝石くんと李仁くんに何かされそうになったらすぐに僕を呼んで。必ず助けるから。」
「う、うん…。」
「あと…僕のこと琉生でいいよ。じゃあ、僕も行くから。」

こは…琉生くんが部屋を出ると同時に扉に鍵をかけられた音が聞こえた。


今日からここが私の家。独りは怖い……私はもう…皆の元へは戻れないのかな……?
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