生贄の花嫁 〜Lost girl〜
「ハア…ハア…ここまでくれば…。」
私たちがたどり着いたのは、書庫だと思われる部屋。屋敷の中で唯一入り組んだ造りが多い部屋で、立て籠るには最適の場所。
「教えて…ください…。さっきのは何なんですか…?」
「下層吸血鬼。」
「下層…吸血鬼……?」
「人を殺すための吸血鬼だ。それだけ分かっていればいい。」
「貴方は…何なの…?」
「俺は…劉磨。赤羽劉磨。」
「あの…。」
「なんだよ、まだ何かあんのか?」
「助けてくれて…ありがとう。」
「いや…俺は…俺たちは…何一つ助けてやれてねえよ。お前の大切な家族たちを…見殺しにした。」
「雪乃は……死んだんですか……?」
「ああ。あいつだけじゃない。お前の父親も母親も……この屋敷の人間はお前以外殺された。」
「え……?」
「お前には、悠夜がマーキングをしていたから助けられた。」
「悠夜…さんって、さっきの眼鏡の…?」
「ああ。」
「そう…ですか…。」
「あー!こんなところにいた!」
「!?」
突然窓の外から聞こえた明るい声。恐る恐る窓を開けると4人の男性が宙に浮いていた。
「お前、少しは空気読めよな……そんなテンションじゃねえってのに。」
「ごめんごめん、やっと片付いたから迎えに来たんだよ。」
「花月さん…これを…。」
悠夜さんから手渡されたのは、雪乃が着ていたドレスについていた白いバラをモチーフにしたチョーカー。血に染まり赤いバラへと変わった悲しい花。
「すみません…これしか回収できませんでした。」
「……。」
「彼女の遺体は回収できなかったの……ごめんなさい。」
「そう……ですか……。」
「花月チャン、もうここには何も残っていないわ。安全な場所でもなくなった。きっと、これからアナタはたくさんの獣たちから狙われる。会ったばかりのアタシたちの言うことなんて簡単に信じられないかもしれないけど……アタシたちにアナタを守らせてほしい。」
「なぜ…見ず知らずの私のことを…助けてくれるのですか…?」
「ごめんなさい……それは言えないわ。でも…絶対にアナタを独りにはしない。だから、アタシたちの屋敷にきてくれる?」
「……。」
私には何も言えなかった。肯定することも否定することもできなかった。今の私にはもう何かを考える力も心も残っていない。もう何も…どうにもできない。何も…したくない。
「今日からは俺たちの屋敷がお前の帰る家だ。行くぞ。」
「もう、なんで劉磨はそういう言い方しかできないかな?優しさとかないわけ?」
「うるせえな、疲れたんだよ。ほら、行くぞ、花月。」
「デレた劉磨は貴重……。」
「お前の居場所も、未来も、人生も、幸せに導いてやる。俺らはお前の家族だ。だから今は休むことだけ考えろ。」
今日からは…この人たちが私の家族。新しい…家族。
「ありがとう……。」
そっと頬に涙が伝った。
私たちがたどり着いたのは、書庫だと思われる部屋。屋敷の中で唯一入り組んだ造りが多い部屋で、立て籠るには最適の場所。
「教えて…ください…。さっきのは何なんですか…?」
「下層吸血鬼。」
「下層…吸血鬼……?」
「人を殺すための吸血鬼だ。それだけ分かっていればいい。」
「貴方は…何なの…?」
「俺は…劉磨。赤羽劉磨。」
「あの…。」
「なんだよ、まだ何かあんのか?」
「助けてくれて…ありがとう。」
「いや…俺は…俺たちは…何一つ助けてやれてねえよ。お前の大切な家族たちを…見殺しにした。」
「雪乃は……死んだんですか……?」
「ああ。あいつだけじゃない。お前の父親も母親も……この屋敷の人間はお前以外殺された。」
「え……?」
「お前には、悠夜がマーキングをしていたから助けられた。」
「悠夜…さんって、さっきの眼鏡の…?」
「ああ。」
「そう…ですか…。」
「あー!こんなところにいた!」
「!?」
突然窓の外から聞こえた明るい声。恐る恐る窓を開けると4人の男性が宙に浮いていた。
「お前、少しは空気読めよな……そんなテンションじゃねえってのに。」
「ごめんごめん、やっと片付いたから迎えに来たんだよ。」
「花月さん…これを…。」
悠夜さんから手渡されたのは、雪乃が着ていたドレスについていた白いバラをモチーフにしたチョーカー。血に染まり赤いバラへと変わった悲しい花。
「すみません…これしか回収できませんでした。」
「……。」
「彼女の遺体は回収できなかったの……ごめんなさい。」
「そう……ですか……。」
「花月チャン、もうここには何も残っていないわ。安全な場所でもなくなった。きっと、これからアナタはたくさんの獣たちから狙われる。会ったばかりのアタシたちの言うことなんて簡単に信じられないかもしれないけど……アタシたちにアナタを守らせてほしい。」
「なぜ…見ず知らずの私のことを…助けてくれるのですか…?」
「ごめんなさい……それは言えないわ。でも…絶対にアナタを独りにはしない。だから、アタシたちの屋敷にきてくれる?」
「……。」
私には何も言えなかった。肯定することも否定することもできなかった。今の私にはもう何かを考える力も心も残っていない。もう何も…どうにもできない。何も…したくない。
「今日からは俺たちの屋敷がお前の帰る家だ。行くぞ。」
「もう、なんで劉磨はそういう言い方しかできないかな?優しさとかないわけ?」
「うるせえな、疲れたんだよ。ほら、行くぞ、花月。」
「デレた劉磨は貴重……。」
「お前の居場所も、未来も、人生も、幸せに導いてやる。俺らはお前の家族だ。だから今は休むことだけ考えろ。」
今日からは…この人たちが私の家族。新しい…家族。
「ありがとう……。」
そっと頬に涙が伝った。