生贄の花嫁 〜Lost girl〜
第12話 温もりをくれたのは・・・
最初は小学2年生の時だった。『輝石』という名前が気持ち悪いと言われた。
たとえ小さなことでも輝けるように、と親がつけてくれた名前だった。その名前に恥じないよう、皆が喜んでくれるなら、とどんな小さなことも率先してやるようにしていた。
それなのに、《お前は輝ける石じゃない、砂利だ》と言われた。
初めのうちはクラスの何人かだけだった。でも、気づいたら他のクラスの子にも馬鹿にされるようになった。嫌なことを押し付けられるようになった。それでも誰かの為なら、と頑張った。
でも、誰からも《ありがとう》と言われたことはなかった。次第に会話をしてくれる子も少なくなっていった。同じクラスの子に虐められるようになった。
それでも、輝きたいと思って頑張った。
小学4年生の時に転機が起きた。好きな子ができた。優花ちゃんという子だった。相変わらず皆にはいじめられたままだったけど、優花ちゃんだけは僕に話しかけてくれた。
初めて《いつもありがとう》と言われた。すごく嬉しかった。皆に嫌われていても優花ちゃんだけに好かれていればよかった。優花ちゃんに喜んでもらうためにもっと頑張ろうと思った。
でも、2学期が終わる頃、クラスの子と僕のことを話している会話を聞いてしまった。
「ねえ、なんでいつも優花は白銀くんに話しかけているの?」
「だって、いつも1人で可哀そうだから。皆のためにいろいろなことやってくれてるのに虐められてるし。」
「えー、でもさー何かキモくない?いつも優花のことばかり見てるし、優花のこと好きだったりして……?」
「気持ちは嬉しいけどね。でも他に可愛い子いっぱいいるし…。」
僕のこと…嫌いじゃないんだ。嬉しい。
「え、お前、白銀のこと好きなの?」
「あいつ皆でハブしてるのに、あいつのこと好きなら優花もハブだな。」
「そういうのやめようよ、大事なクラスメイトなんだよ。」
「はーい、皆さーん!佐々木優花さんは白銀輝石くんのことが好きだそうですー!」
「えー、あの砂利を好きなの?」
「それなら今日から優花もハブだな。」
「じゃあ、皆で無視しようぜー。」
僕のことなんか嫌いだって嘘でも言えばよかったのに、優花ちゃんは全然言わなかった。クラスの子たちが僕の悪口を言うたびに庇ってくれた。怒ってくれた。
でも、そんな毎日が続いていた時、優花ちゃんは学校に来なくなった。いつもニコニコ笑顔で学校に来ていたのに会わなくなった。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月が過ぎる頃、優花ちゃんが転校するという話を聞いた。あんなに学校が大好きだったのに……
僕は心配になった。僕のせいで学校に来られなくなったんじゃないかって。
最後に『ごめんね』と『ありがとう』を言いたくて優花ちゃんの家に行った。
「こんにちはー。優花ちゃんに会いに来ました。」
「ごめんなさいね…優花は今会えないの。でも、後で伝えておくからお名前教えてくれる?」
「白銀輝石です!」
「白銀……輝石…?」
「はい!」
「…のせいで…あんたのせいで、優花の人生はめちゃくちゃなのよ!2度と来ないでちょうだい。」
僕の名前を聞いた途端、インターホンが切れた。
この時僕はわかった。僕のせいで、優花ちゃんは学校に来られなくなってしまったことを。僕なんかを庇ったせいで優花ちゃんは壊れてしまったんだと。
家に帰ってたくさん泣いた。優花ちゃんを傷つけてしまったこと、自分の力で何もできなかったこと、自分なんかいなければよかったこと。いろんな「ごめんなさい」でいっぱいで今度は僕が壊れてしまった。
たとえ小さなことでも輝けるように、と親がつけてくれた名前だった。その名前に恥じないよう、皆が喜んでくれるなら、とどんな小さなことも率先してやるようにしていた。
それなのに、《お前は輝ける石じゃない、砂利だ》と言われた。
初めのうちはクラスの何人かだけだった。でも、気づいたら他のクラスの子にも馬鹿にされるようになった。嫌なことを押し付けられるようになった。それでも誰かの為なら、と頑張った。
でも、誰からも《ありがとう》と言われたことはなかった。次第に会話をしてくれる子も少なくなっていった。同じクラスの子に虐められるようになった。
それでも、輝きたいと思って頑張った。
小学4年生の時に転機が起きた。好きな子ができた。優花ちゃんという子だった。相変わらず皆にはいじめられたままだったけど、優花ちゃんだけは僕に話しかけてくれた。
初めて《いつもありがとう》と言われた。すごく嬉しかった。皆に嫌われていても優花ちゃんだけに好かれていればよかった。優花ちゃんに喜んでもらうためにもっと頑張ろうと思った。
でも、2学期が終わる頃、クラスの子と僕のことを話している会話を聞いてしまった。
「ねえ、なんでいつも優花は白銀くんに話しかけているの?」
「だって、いつも1人で可哀そうだから。皆のためにいろいろなことやってくれてるのに虐められてるし。」
「えー、でもさー何かキモくない?いつも優花のことばかり見てるし、優花のこと好きだったりして……?」
「気持ちは嬉しいけどね。でも他に可愛い子いっぱいいるし…。」
僕のこと…嫌いじゃないんだ。嬉しい。
「え、お前、白銀のこと好きなの?」
「あいつ皆でハブしてるのに、あいつのこと好きなら優花もハブだな。」
「そういうのやめようよ、大事なクラスメイトなんだよ。」
「はーい、皆さーん!佐々木優花さんは白銀輝石くんのことが好きだそうですー!」
「えー、あの砂利を好きなの?」
「それなら今日から優花もハブだな。」
「じゃあ、皆で無視しようぜー。」
僕のことなんか嫌いだって嘘でも言えばよかったのに、優花ちゃんは全然言わなかった。クラスの子たちが僕の悪口を言うたびに庇ってくれた。怒ってくれた。
でも、そんな毎日が続いていた時、優花ちゃんは学校に来なくなった。いつもニコニコ笑顔で学校に来ていたのに会わなくなった。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月が過ぎる頃、優花ちゃんが転校するという話を聞いた。あんなに学校が大好きだったのに……
僕は心配になった。僕のせいで学校に来られなくなったんじゃないかって。
最後に『ごめんね』と『ありがとう』を言いたくて優花ちゃんの家に行った。
「こんにちはー。優花ちゃんに会いに来ました。」
「ごめんなさいね…優花は今会えないの。でも、後で伝えておくからお名前教えてくれる?」
「白銀輝石です!」
「白銀……輝石…?」
「はい!」
「…のせいで…あんたのせいで、優花の人生はめちゃくちゃなのよ!2度と来ないでちょうだい。」
僕の名前を聞いた途端、インターホンが切れた。
この時僕はわかった。僕のせいで、優花ちゃんは学校に来られなくなってしまったことを。僕なんかを庇ったせいで優花ちゃんは壊れてしまったんだと。
家に帰ってたくさん泣いた。優花ちゃんを傷つけてしまったこと、自分の力で何もできなかったこと、自分なんかいなければよかったこと。いろんな「ごめんなさい」でいっぱいで今度は僕が壊れてしまった。