生贄の花嫁 〜Lost girl〜

―琉生side—

「ん…？」


目を覚ますと見たことのない豪華なシャンデリアがついている天井。


ここは…どこ…？


ふと横を見ると毛布にくるまり眠っている花月ちゃんの姿。


そうだ……僕は花月ちゃんの匂いを辿って……。


「手当て…されてる…。」


たしか傷だらけで真っ赤に染まっていたはず。


花月ちゃんが手当てをしてくれたのかな…？


「ん……琉生…く…？琉生くん！？」
「花月ちゃん？」



僕の体に抱き着く花月ちゃん。薄着だからか彼女の体が柔らかく温かさが伝わってくる。


「皆が…手当てしてくれたんだよ。」

「あいつらが…？」

「うん…。本当に良かった…無事で。」



彼女の背中に手をまわし顔を寄せる。唇まであと数センチ。



「それからどうする気だ？」

「劉磨さん！」


「何って再会のキスだけど…妬いてるの？」

「妬くも何もそいつは俺らのもんだ。勝手なことするな。」



「おはよう～！って、何してるの！？」
「再会のキスだけど…？」


「最近の子供は、おませさんねぇ。」

「起きて第一声がそれですか…。琥珀琉生、貴方に聞きたいことがあります。」




いかにもまとめ役って感じの人が僕に話しかける。まあ、僕も話をしにここに来たからいいんだけどね。




「僕が来た理由、知りたいんでしょ？」

「当然です。」


「簡単なことですよ。僕、黒鬼院様に追い出されたんですよ。まあ、正確には殺されかけたと言ったほうが分かりやすいですかね…？」

「え…？」



「花月ちゃんを貴方方にお返しした後、僕たちが花月ちゃんを逃がしたことがばれたんです。輝石君と李仁君が庇ってくれましたが2人の言葉に耳を傾けることなく僕を斬りました。なんとか屋敷から出て、花月ちゃんの匂いを辿っていたらこの屋敷にたどり着いていました。」