生贄の花嫁 〜Lost girl〜
第15話 後悔と想い
琉生くんからここに来た経緯を聞く。私のせいで琉生くんが殺されかけただなんて……分かっていたことのはずなのに……心が痛い。
「琉生くん…私…。」
「花月ちゃんは悪くないよ。僕が花月ちゃんを助けたかっただけなんだから。」
相変わらず琉生くんは私よりも小さく、華奢で守ってあげなきゃいけないと思う。
「そんなに強く抱きしめないで…痛い。」
「だって…琉生くんに申し訳なくて……私にはこれくらいしかできないから。」
「なんか俺らには見えない2人の世界になってる。」
「つまり、話を戻すと貴方はその黒鬼院の屋敷から逃げてきたと…?」
「はい。」
「これから行く宛は?」
「ありませんよ。どこに行ってもあのお方は僕を始末しに来ます。なるべくここから離れたところには行く予定です。」
「琉生くん…。」
「最後にもう一度花月ちゃんの顔が見られてよかった。これで、僕は悔いなく終われる。」
「嫌だ…そんなこと言わないでよ。ここで一緒に暮らそう。琉生くんはどこにも行かなくていい。ここで楽しく暮らそうよ…。」
「花月…。」
「そう言ってくれるのはすごく嬉しいけど、それはできない。ここにいたらそいつらだけじゃなく花月ちゃんにも迷惑をかけることになる。僕は花月ちゃんの傷つく顔を見たくない。傷つくのは僕だけでいい。」
「そんな悲しいこと言わないでよ。まだ琉生くんは子供なんだよ?もっと甘えてよ…我がまま言っていいんだよ。本当は助けを求めにここに来たんでしょ!?行く宛がないのに屋敷から出たなんてそんなの嘘でしょ!?お願い…そう言って…。」
自分の頬を涙が伝っていくのが分かる。お願い…1人になろうとしないで……消えていってしまわないで……
「第一、花月ちゃんが良くてもそいつらにとって僕は花月ちゃんの命を狙う危ない存在。そもそもそいつらが僕を助ける理由なんてない。」
「皆…お願いします。琉生くんをここにいさせてあげてください。お願いします。」
人生で初めて人に頭を下げた。皆が困ろうが怒ろうが私は絶対に頭を上げない。琉生くんはあのとき自分がどうなるかわかっていて私を助けてくれた。
だから…今度は私が琉生くんを助けたい。
「仕方ないわね。」
「え…?」
「花月チャンのお願いだもの。特別に許可してあげる。」
「本当に…?」
「それに、アタシたちは恩があるもの。ただし、もうこれでお互い貸し借りなしよ。それと、ここではアタシたちの言うことを絶対聞くこと。分かったかしら?」
「僕をここに置く…?」
「本当は不愉快極まりないですが彼女のためです。彼女に感謝してください。花月さんが頭を下げるだなんてそれだけ貴方のことを思っているということです。」
「琉生くん…これからはずっと一緒だよ。」
「花月ちゃん…ありがとう。」
「でも部屋はどうする?僕たちが使ってない部屋なんか埃だらけだし…。」
「だったら私の部屋でいいです。」
「お前意味わかって言ってんのか!?いくら小学生でも男を部屋にいれるってことだぞ。襲われたりしたら…。」
劉磨さんの言葉にあの光景が頭に蘇る。聖さんに襲われそうになった記憶。体に乗られて押し倒されて…何もできなかったあの記憶。
なんで…?私…なんでこんなに体が震えるの…?なんで息が苦しいの…?何に怯えているの…?
「花月…。」
「花月ちゃん、どうしたの!?」
ダメだ。怖い。男の人が…怖い…。皆が…怖い。
「どうしました!?」
「いや…触らないで…。私に触らないで…ください。」
「どうしたんだよ…?」
「私…部屋に戻ります。お願いですから…誰も…来ないでください…。」
「わかりました。何かありましたら呼んでください。」
「琉生くん…私…。」
「花月ちゃんは悪くないよ。僕が花月ちゃんを助けたかっただけなんだから。」
相変わらず琉生くんは私よりも小さく、華奢で守ってあげなきゃいけないと思う。
「そんなに強く抱きしめないで…痛い。」
「だって…琉生くんに申し訳なくて……私にはこれくらいしかできないから。」
「なんか俺らには見えない2人の世界になってる。」
「つまり、話を戻すと貴方はその黒鬼院の屋敷から逃げてきたと…?」
「はい。」
「これから行く宛は?」
「ありませんよ。どこに行ってもあのお方は僕を始末しに来ます。なるべくここから離れたところには行く予定です。」
「琉生くん…。」
「最後にもう一度花月ちゃんの顔が見られてよかった。これで、僕は悔いなく終われる。」
「嫌だ…そんなこと言わないでよ。ここで一緒に暮らそう。琉生くんはどこにも行かなくていい。ここで楽しく暮らそうよ…。」
「花月…。」
「そう言ってくれるのはすごく嬉しいけど、それはできない。ここにいたらそいつらだけじゃなく花月ちゃんにも迷惑をかけることになる。僕は花月ちゃんの傷つく顔を見たくない。傷つくのは僕だけでいい。」
「そんな悲しいこと言わないでよ。まだ琉生くんは子供なんだよ?もっと甘えてよ…我がまま言っていいんだよ。本当は助けを求めにここに来たんでしょ!?行く宛がないのに屋敷から出たなんてそんなの嘘でしょ!?お願い…そう言って…。」
自分の頬を涙が伝っていくのが分かる。お願い…1人になろうとしないで……消えていってしまわないで……
「第一、花月ちゃんが良くてもそいつらにとって僕は花月ちゃんの命を狙う危ない存在。そもそもそいつらが僕を助ける理由なんてない。」
「皆…お願いします。琉生くんをここにいさせてあげてください。お願いします。」
人生で初めて人に頭を下げた。皆が困ろうが怒ろうが私は絶対に頭を上げない。琉生くんはあのとき自分がどうなるかわかっていて私を助けてくれた。
だから…今度は私が琉生くんを助けたい。
「仕方ないわね。」
「え…?」
「花月チャンのお願いだもの。特別に許可してあげる。」
「本当に…?」
「それに、アタシたちは恩があるもの。ただし、もうこれでお互い貸し借りなしよ。それと、ここではアタシたちの言うことを絶対聞くこと。分かったかしら?」
「僕をここに置く…?」
「本当は不愉快極まりないですが彼女のためです。彼女に感謝してください。花月さんが頭を下げるだなんてそれだけ貴方のことを思っているということです。」
「琉生くん…これからはずっと一緒だよ。」
「花月ちゃん…ありがとう。」
「でも部屋はどうする?僕たちが使ってない部屋なんか埃だらけだし…。」
「だったら私の部屋でいいです。」
「お前意味わかって言ってんのか!?いくら小学生でも男を部屋にいれるってことだぞ。襲われたりしたら…。」
劉磨さんの言葉にあの光景が頭に蘇る。聖さんに襲われそうになった記憶。体に乗られて押し倒されて…何もできなかったあの記憶。
なんで…?私…なんでこんなに体が震えるの…?なんで息が苦しいの…?何に怯えているの…?
「花月…。」
「花月ちゃん、どうしたの!?」
ダメだ。怖い。男の人が…怖い…。皆が…怖い。
「どうしました!?」
「いや…触らないで…。私に触らないで…ください。」
「どうしたんだよ…?」
「私…部屋に戻ります。お願いですから…誰も…来ないでください…。」
「わかりました。何かありましたら呼んでください。」