生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「お庭…こんなに綺麗だったんだ……。」


ルイちゃんと庭に出てきた。花や木々にあふれていて自然の美しさを感じる。前に庭に出たときは悠夜さんを追っていたから全く気が付かなかった。



「こっちには花壇もあるね。」

「すごい……一輪一輪大切に育てられている。」

「私はアサガオとひまわりくらいしかわからないな。」


「これはアガパンサス。花言葉は“恋の訪れ”。その紫の花はアゲラタム。花言葉は”信頼”。あの赤いのはアマリリス。花言葉は”誇り”。」

「すごく詳しいんだね。」



「花言葉は……聖さんが教えてくれたの。自然は好き。誰にも何にも色を染められない。でも…誰かの手がないと生きていけない。一輪一輪が自分の足で大地を踏みしめているようで誰かと繋がっている。」


「花月ちゃんも…僕もきっとそうだよ。誰かの手がないと生きていけない。でも僕たちは自分の足で立って今を生きてる。すべてが正しい道なんてない。それでも信じて進んだ道に未来があるならたとえ不安でも突き進んでみるべきじゃないかな。」



二コリと笑いベンチに向かうルイちゃん。



「おやつタイムにしよっか。」

「うん…。」


「さ、モヤモヤしたときは食べてすっきりしよう。あ、このお煎餅美味しい。」



ルイちゃんが本当にお煎餅を食べている。洋風な外見にはミスマッチだけど美味しそう……



「ねえ、花月ちゃんは何が怖いの…?」
「え…?」

「だって、花月ちゃんに怖い思いさせたのは聖さんだけでしょ?他の男の人まで嫌いになるっておかしくない?」



そう言われればたしかにそうだ。問題が起きたのは聖さんとの関係だけ。それなのに私は皆を拒んだ。男の人ってだけで。


「な~んてね。私は花月ちゃんじゃないから花月ちゃんの気持ちを全て理解することはできないけど意見を言うことはできるわよ。」

「少し…考えてみる。」
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お菓子を食べ終え部屋に戻ってくるとドアの前に花束が置いてあった

「何これ、今時花束…?」

「カンパニュラ。」
「え…?」

「この花は…カンパニュラっていう花で、花言葉は後悔……。」

「それってもしかして……。」
「……そうかもしれないね…。私、少し考え事をしたいから夕食はいらないって伝えておいてもらえる?」


「うん…わかった。洋服は借りたままでもいい…?」

「うん。ありがとね。」






ルイちゃんと離れ花束を抱えて部屋に入る。


さっきルイちゃんに伝えたカンパニュラの中には一輪だけ違う花が入っていた。


「ゴデチア……花言葉は“変わらぬ愛”。」



これが貴方の気持ちなんですか…?
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