年下くんの甘い毒。
「明日早速デートしましょう!部活オフですよね?」
大会の次の日だからオフだけど…。
いくらなんでも急すぎるんじゃ?
…まあいいか。嬉しそうだし。
「じゃあ、はい」
私は自分の連絡先のQRコードを表示させて差し出す。
それを読み取った大橋くんは、両手で携帯を持ち上げて崇めた。
大袈裟だけど正直気分は良い。
こんなにあからさまに好意が伝わってくる人は初めてだ。
「俺、絶対涼子さんのこと大切にします」
付き合い始めのときに誰もが言うセリフを私は軽く受け流す。
そんなこと言ったってみんな私に飽きて離れていくんだ。
正直このとき彼のことは、大勢いる男の一人にしか見えていなかった。