隣のキケンな王子様!
強引に腕を引っ張られたあたしは、自分のために用意されたようなジャストスペースにぴったりと収まった。
……で、密着。
「な、何なの?」
「あっち見てみ? でも危ないからあんまり乗り出すなよ」
郁己くんは、アパートの後ろの方を指さしている。
あたしはそれを目で追って、手すりに手をかけた。
「あっち?」
「あの一番背の高いビルと、手前のハンバーガーの看板の間」
「ビルと、看板……?」
このアパートの壁がじゃまをして、よく見えない。