隣のキケンな王子様!
「お隣さんの話をしてるときの由梨、口調はツンツンしてるけど、顔は楽しそうだったよ?」
「え?」
「本当はイヤじゃないじゃない?」
「そ、そんなことないしっ」
郁己くんが仮にいい人だとしても、大迷惑を受けているのは事実だもん。
「ふーん」
「何? その顔は」
「ま、いいや。また何か面白いことあったら報告してね」
「面白くないですから」
「あ~~、次のデート、何着て行こうかな~」
「……いいね、幸せで」
唇をとがらせたあたしは、薬指の指輪を握りしめた。
記憶の中の王子様に、想いを馳せながら。