隣のキケンな王子様!
郁己くんの洗濯物を抱えて部屋に戻ったあたしは、大急ぎで外に飛び出した。
アパートの前のちょっとしたスペースは、伸び放題の雑草地帯。
「え~、どこ~~?」
もしかしたら庭なのかもしれないけど、郁己くんの言う“ずぼら”な大家さんがお手入れをしているわけもなく、青々と生い茂った草は、地面の色まで隠してしまっている。
太陽も沈んでしまって、余計に薄暗い。
「無いよ~~」
半泣き状態のあたしに追い打ちをかけるように、雨足が強まってきて。
傘もささずに飛び出してきた体は、シャワーでも浴びたみたいにびっしょりになった。