隣のキケンな王子様!


「パンツ泥棒か」


「……違うもん」


「マヌケだぞ、その格好は」



少しだけ笑った郁己くんは、傘の半分をあたしにかけて、隣にしゃがんだ。



「どした?」


「指輪、落としちゃったの……」



雨水の垂れる前髪の中で目をパチパチしながら答えると、

伸びてきた長い指が、あたしのおでこを開放してくれた。



「指輪? って?」


「いつも付けてた指輪」


「あ~、突き指の隣についてたヤツか」


「うん」


「それとオレのパンツがどういう関係にあるわけ?」



< 192 / 458 >

この作品をシェア

pagetop